Nintendo Switchゲームの性表現規制に方針変更があったと、海外スタジオが報告。禁断ゾーンをめぐり“新ポリシー”を主張

 

パブリッシャーのGamuzumiは9月30日、Nintendo Switch向けに新作をリリースすべく任天堂に作品を提出したものの、拒否されたことを明らかにした。拒否された理由として、任天堂が最近になってあるポリシーを変更しためだと主張している。

Gamuzumiは、アドベンチャーゲーム『サクラ・MMO』シリーズや『サクラ・スピリット』などのビジュアルノベル、また『Elves Fantasy Hentai Puzzle』のようなパズルゲームなどを手がけているスタジオ。いずれの作品も美少女キャラが登場し、程度はさまざまながら性描写を含むことが特徴となっている。

今回任天堂にNintendo Switch向けリリースを拒否されたのは、シューティングゲーム『Hot Tentacles Shooter』とパズルゲーム『Elves Christmas Hentai Puzzle』とのこと。そして拒否された理由は、乳首を含め乳房が露わになった描写が含まれていたことだという。そうした猥褻なコンテンツは任天堂のブランドを毀損しかねず、同社のポリシーに違反するものでもあると任天堂に指摘されたそうだ。

上述した新作『Hot Tentacles Shooter』は、クラシックスタイルの縦スクロールシューティングゲーム。プレイヤーは敵と戦い、タコのような触手をもつエイリアンから女の子を救出するという内容となっており、ゲーム画面の右側にはその女の子のイラストが配置。そしてステージをクリアすると、解放された女の子が生まれたままの姿で描写される。一方の『Elves Christmas Hentai Puzzle』は、シンプルなスライドパズルゲーム。絵柄に女の子のイラストが使用され、乳首を含め乳房がすべて露出している場合もある。

販売元Gamuzumiは、こうした作品の販売が拒否されたことを受けて、任天堂のポリシーが変更されたと述べている。すなわち、以前は乳房が露わになった描写が含まれていてもリリース可能だったが、新たなポリシーでは修正が求められるようになったとのこと。

『Elves Fantasy Hentai Puzzle』


実際、今年7月に配信されたパズルゲーム『Elves Fantasy Hentai Puzzle』には、エルフの女の子の乳房が無修正のまま描かれていた。また他社作品では、たとえば昨年10月にリリースされたeastasiasoftのシューティングゲーム『Waifu ディスカバード2:中世ファンタジー』においても、同じく無修正のままだった。

なお、これらは海外の話であって、同じ作品でも日本版では乳首が隠されるなどの修正が施されている。おそらく、任天堂の国内向けのポリシーがあるというよりも、CEROレーティングの関係で修正されたのだろう。

ともあれGamuzumiの説明が正しければ、任天堂はゲーム内の性的表現について独自の制限を設けるかたちに、最近になってポリシーを変更したようだ。Gamuzumiは、これですべてのコンソールが横並びでヌードコンテンツに規制を設けることとなったとコメント。任天堂は、ある種最後の砦だったわけだ。

任天堂がなぜこのタイミングでポリシーを変更したのか、理由ははっきりしない。ただ、性的表現を含むゲームというと、今年8月の発売直前に延期発表されたリズムゲーム『マッサージフリークス』の一件が思い出される。同作においては、そのゲーム内表現について一部で批判の声が上がり、任天堂に対しても批判的な意見が投じられる状況に。同作は、CERO:D(17才以上対象)レーティングをすでに取得していたが、開発元qureateは“関係各所と協議した結果”発売を延期した(関連記事)。

任天堂の古川俊太郎社長は2019年6月開催の株主総会の質疑応答にて、第三者機関による年齢レーティングの取得を前提としたうえで、同社が発売を認めるソフト、認めないソフトを恣意的に取捨選択することはない、という趣旨の回答をしていた。

qureateが言及した“関係各所”に、任天堂が含まれていたのかどうかは不明。いずれにせよ任天堂はこの一件が起こった近いタイミングで、レーティングを取得している作品であっても、さらに独自の規制を適用するようになったとみられる。Gamuzumiが伝えた範囲の規制であれば、先述したように日本においてはあまり影響はなさそうであるが、海外では大きな変化と映るだろう。Gamuzumiは新作について、ヌード表現を修正して任天堂に再提出する考えを示している。また、Steamなどでは無修正のまま配信するそうだ。