「AIにゲームの絵を描かせる遊び」が流行中。WOMBOの「Dream」を使い、ちょっとグロくも“それっぽい絵”が量産される

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現在、「AIにゲームイラストを描かせる」遊びが流行しているようだ。カナダ・トロントに拠点をおくAIアプリケーション企業WOMBOは、昨年11月13日に画像生成アプリ「Dream」をリリースした。本アプリでは、人工知能を利用してイラストレーションを作成することができる。ユーザーは、イラストの題材としたいキーワード「apple」「tower」などを自由に入力することが可能。すると、人工知能がキーワードにもとづき画像を生成する。抽象的ながらも、キーワードの対象“っぽい”イラストレーションが描かれるのだ。 
 

左から順に「りんご」「塔」「サムライ」をキーワードとして与えた絵。

 
アプリケーションのリリース自体は2021年11月だが、国内に普及し始めたのは昨年12月~今年1月ごろにかけてと見られる(Google Trends)。AIにより描かれたイラストレーションは、必ずしも主題そのものを明確に描けるとは限らない。しかし、抽象的な画像のなかにもそことなく主題のエッセンスがちりばめられており、その曖昧な概念のようなイラストを楽しむ遊びがSNSを中心に広まっているのだ。同様の傾向はゲーマーの間にも見られる。そこで、ここではAIによって描かれた数々のゲームの“ファンアート”を見てみよう。 

まずは、いわずと知れた任天堂の看板キャラクターから。あるユーザーは、マリオ・ルイージ・ワリオ・ワルイージの4名の描写を試みた。遠目から見ると、それぞれ赤・緑・黄色・紫とイメージカラーが反映されている。しかしよくよく見ると、いずれも人の顔をなしているとはいいがたい出来栄えだ。目や鼻など、細かい顔面のパーツはAIの得意とするところではないのだろう。とくにワリオに関しては、じゅくじゅくとした肉塊らしきものが誕生しており、不安をあおる。一方、各メンバーの「帽子」と思われる部分が生成されているのは興味深い点だ。またルイージ・ワルイージは面長な輪郭が表現され、口ひげのようなものも見える。大まかな形をとることに関してはAIが能力を発揮できるようだ。 
 

 
続いては、海外掲示板Redditユーザーが投稿した作例。これはパッと見でテーマが分かる人も多いのではないだろうか。ずばり『メトロイド』である。中央に描かれたオレンジの人型は、サムスのパワードスーツをかなり細密に再現している。肥大化した頭部にやや違和感は残るものの、片腕にアームキャノンらしきものまで描画されている点は驚きだ。周囲の肉々しい背景も同作の世界観とマッチしている。投稿者は「H.R.ギーガーの作品のようだ」と評しており、巨匠が実際に『メトロイド』のファンアートを描いたらこのようになるのかもしれない。 
 

Image Credit : PsycrowArchon

 
下の画像もRedditより、「ゼルダの伝説 夢をみる島」とのキーワードで生成した画像だ。面白いのは、リンクらしき人影の造形の二面性だろう。どこを顔として捉えるかによって、シリーズ伝統の緑衣の勇者にも見えるし、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の青い英傑の服にも見える。剣を携えているような、弓を構えているような、絶妙な解釈の幅がある優れた作例といえそうだ。一方、背景に存在する建物はやや浮いており、謎である。白川郷の合掌造にも見えなくはないが、AIの真意は分からない。 

【UPDATE 2022/01/13 16:07】
「Link’s Awakening」の訳を修正。
 

 
最後は国内のTwitterユーザー、砦氏の作例。非常に細密に描かれた『ブラッドボーン』のアートである。左下に見える人影は狩人であろう。シルクハットのようなものを被っているようにも見え、ヴィクトリア朝の世界観にマッチしている。その狩人の背中から異形の骨らしきものが飛び出しているのも意味深だ。そして注目すべきは、背景に描かれたヤーナムの街並みである。推測だが、「Dream」は人物よりも建物や風景描写でとくに威力を発揮できるようだ。アプリのデフォルト機能で「Dark Fantasy」のフィルタを指定できる点も大きいだろう。WOMBO Dreamアート界でも『ブラッドボーン』はとりわけ人気が高く、さまざまなユーザーにより画像生成が試みられている。 
 

 
アプリがこうした人気を博している背景には、結果のランダム性があるだろう。本アプリでは、同じキーワードで生成しても、試行するたびに異なる結果を得ることができる。筆者もテストとして、伝説の傭兵「ソリッド・スネーク」をAIにリクエストしたところ、3回生成した結果すべて異なる画像を得られた。心なしかだんだん上手くなっている気もする(?)。 
 

左が最初の絵、右が最後の絵

 
さらに本作ではイラストレーションを作成する際、「エッチング風」「サルバトール・ダリ風」など作画のテイストを指定することが可能だ。同じキーワードでも、テーマを変えることでまったく異なる結果を得ることができる。下記の実験結果は、左から順に「浮世絵風のピカチュウ」「シンセウェーヴなピカチュウ」「ダークファンタジーなピカチュウ」である。同じ主題でもまったく異なる作品となることがわかるだろう。このように「Dream」による画像生成では、人によって、また試行回数によってさまざまな結果を得られる。ゲーム風にいえば、「リプレイ性が高い」ともいえるだろう。遊ぶたびに異なる体験が得られる点が、本アプリをここまで流行させている要因といえそうだ。 
 

 
AIによって生成される、さまざまなファンアート。見方によっては恐ろしく、見方によっては美しい、二律背反の持ち味が特徴だ。アート生成はこちらのページやアプリ(iOS/Android)からおこなえるため、お気に入りのゲームで試してみるといいだろう。 




※ The English version of this article is available here

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