米国Tesla(テスラ)は12月25日、同社の電気自動車Model Sなど向けにソフトウェアアップデートを配信。車内のセンターディスプレイにてゲームを楽しめる「Tesla Arcade」に、セガの『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』などを追加した。一方で同社には、こうしたゲームプレイ機能に関して米国当局からの調査が入っているようだ。海外メディアThe Vergeなどが報じている。
現行のTesla車が搭載するプロセッサには最大10TFLOPSの処理能力があるといい、これを活用してゲームを楽しめる「Tesla Arcade」が提供されている。発表時には『ウィッチャー3』も動くとアピールされ、『Cuphead』や『キャットクエスト』『Fallout Shelter』、あるいはAtariのクラシックゲームなどが提供されているという。そして今回、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』も追加された。
このゲームプレイ機能については、当初は駐車時にのみ利用できるものであったが、今年の夏に配信されたソフトウェアアップデートにて、走行中にもプレイ可能になったそうだ。これは「Passenger Play」と呼ばれており、同乗者が楽しめる機能として提供された。ただ、「私は同乗者です」と書かれた確認ボタンをタップするだけで利用できることから、実際には運転者が走行中にプレイすることも可能だという。
Tesla車には、オートパイロットと呼ばれる自動運転支援システムが搭載されている。ただ、現時点のシステムはレベル2相当とされ、走行中は運転者はハンドルに手を添えて、常に運転状況を監視している必要がある。こうしたことから、走行中に運転者がゲームをプレイできてしまうとなれば、事故のリスクの増大が懸念される。そして、不安に感じたTeslaユーザーがNHTSA(米国運輸省道路交通安全局)に報告し、同局による調査が開始されたとのこと。
NHTSAは12月23日に調査状況を報告。海外メディアCNNによると、TeslaはNHTSAによる予備的調査が開始された段階で、「Passenger Play」の機能変更をおこなうことを同局に報告したという。ソフトウェアアップデートを実施し、車両が走行している際には利用できなくするとした。つまり、ゲームは駐車時にのみ利用できる、以前の仕様に戻すということだろう。
こうした方針についてTeslaは特に公表しておらず、今回配信されたアップデートの内容にも記載されていない。公表されないまま既に仕様変更された可能性もあるが、いずれにせよ走行中のゲームプレイが不可となることは間違いなさそうだ。一方で、Tesla含め各社は完全自動運転の実現に向けた開発を進めている。走行中にゲームを楽しむことが当たり前になる日は、いずれ訪れることになるかもしれない。