作家J. K. Rowling氏の小説「ハリー・ポッター」シリーズが映画化されて以降、さまざまなゲーム作品が登場した。その多くは、映画版をもとにしたアクション・アドベンチャーゲームだったが、かつてEAがMMOとして開発を進め、お蔵入りにしていたことが明らかになった。海外メディアPC Gamerなどが報じている。
ブロックチェーン技術などを用いたゲーマー向けコミュニティプラットフォームを運営するOriginal Gamer Lifeは12月23日、同社のチーフマーケティングオフィサーを務めるKimberly Salzer氏へのインタビューを実施。このなかで同氏は、EA在籍時代に携わった大きなプロジェクトとして、発売には至らなかった「ハリー・ポッター」のMMO作品について語っている。
Salzer氏によると、EAはさまざまリサーチを重ねたうえで、「ハリー・ポッター」MMOのベータ版まで制作していたという。ゲーム内容についての詳細は明かされなかったが、オフラインとオンラインの体験を組み合わせた作品であり、子供たちに商品やリボンなどのアイテムを届けるような要素が存在したという。
しかし開発中止となってしまった。Salzer氏は、「言葉を選ばずにいうと、殺されたのです」とコメント。同氏はこのプロジェクトに深く関わっていたそうなので、思い入れも大きかったのかもしれない。同氏によると、EAは「ハリー・ポッター」のIPが1〜2年以上にわたり人気を維持できるか分からなかった、あるいはそうなると信じていなかったという。また、当時EAは何らかの変革をおこなっていた時期でもあったそうで、タイミングの問題もあったようだ。
Kimberly Salzer氏は、製品マーケティング担当ディレクターとして、2000年から2003年にかけてEAに在籍していた。今回の話は、その当時の一件だろう。ちょうど「ハリー・ポッター」の映画版の1〜2作目が公開された時期でもある。
MMO作品は開発中止となったが、実はEAは2001年からほぼ毎年のように「ハリー・ポッター」のゲーム版を発売している。先述したように、映画版をもとにしたアクション・アドベンチャーゲームがほとんどで、映画の人気を受けて投入していったことがうかがえる。一方でMMOとなると、長期的な運営が前提となる。「ハリー・ポッター」の人気がこの先どうなるのかを見通すには、開発に着手した時期が早すぎたのかもしれない。
ちなみに「ハリー・ポッター」のゲームというと、オープンワールド・アクションRPG『ホグワーツ・レガシー』が現在開発中だ。販売元はEAではなく、WB Gamesである。PC/PS4/PS5/Xbox One/Xbox Series X|S向けに2022年発売予定となっている。