ユービーアイソフトは12月16日、『スプリンターセル(Splinter Cell)』リメイク版の開発がUbisoft Torontoにて開始していると発表した。同社のステルスアクションシリーズ第一作が、新たに再構築されるようだ。
『スプリンターセル』は、2003年に発売されたステルスアクションゲーム。プレイヤーはアメリカ国家安全保障局内の秘密組織に所属するサム・フィッシャーとして、極秘任務を遂行することとなる。サムは決して超人的な人物ではないため、ミッションを達成するには敵に見つからないことが最重要だ。敵の目を欺き、暗闇に潜みながら進むことで、まったく相手に気づかれないまま任務を成功させることが本作の目的である。
『スプリンターセル』のリメイクにあたっては、ゲームを一から再構築。ゲームエンジンとしてはユービーアイソフトが擁するSnowdrop engineを採用するとのことだ。同エンジンはユービーアイソフトが同じく開発中の『Avatar: Frontiers of Pandora』や、「スターウォーズ」ゲームの新作でも用いられている。新世代のビジュアルとゲームプレイをもたらし、『スプリンターセル』シリーズ特有の光と影の表現にも活かされるそうだ。
ユービーアイソフトは今回の発表に際して、開発にかかわるUbisoft Trontoのスタッフにインタビューを実施。プロデューサーのMatt West氏によれば、あくまで「リマスター」ではなく「リメイク」であるとのことで、再構築するにあたってはやや踏み込んだ取り組みをしているそうだ。19年前に革新的だったゲームが現代のユーザーの好みにも合うような工夫がされているのだろう。一方、初期作品が『スプリンターセル』シリーズに与えていたアイデンティティを維持するようにも注意しているという。そのためビジュアルやデザイン要素はアップデートしつつ、あえてオープンワールドにせずリニア型のゲームプレイを維持しているとのことだ。
クリエイティブディレクターのChris Auty氏は、リメイクにあたってオリジナル版から重視する点についても語っている。プレイヤーが状況を観察し、計画を立て、ガジェットを使い、敵を出し抜き、直面した困難に対処する達成感を、オリジナル版から維持したいとのこと。誰にも気づかれることなく状況を潜り抜けることが理想形である、という『スプリンターセル』のエッセンスはリメイク版でも重要視されるようだ。またWest氏によれば、開発チームがこれまでに携わってきた大規模な数作品と異なり、『スプリンターセル』ではゲーム密度が高く、小さな部分にも意図や選択が反映されているという。Auty氏は、完璧に計画を実行できたときの達成感や満足感を尊重したい考えを示した。
またテクニカルプロデューサーのPeter Handrinos氏によれば、Snowdrop Engineを用いることで、物事を手早く試し、どのように作用するかを見て、成功を収めるといった開発サイクルのスピードを実現しているとのことだ。Handrinos氏は、オリジナル版、ひいてはシリーズ最新作から時間が空いてしまった分、光や影・アニメーション・ゲームプレイ・AI・オーディオなどの点で、何を向上できるかを探索したいとコメント。何を革新すべきか、オリジナル版に沿うだけでなく、どんな点でゲームを期待に適うだけレベルアップさせられるか、どうすればプレイヤーを驚かせられるか、といった点を追求していきたいとしている。
West氏は、現代のゲームプレイに合わせて一から作り直す必要がある部分もあると認めつつ、初期の『スプリンターセル』の感覚を維持するために何をすべきか模索していると言及。古いものと新しいものの境界線をまたぎつつ、新しいプレイヤーを驚かせると同時に、旧来のプレイヤーにも納得いくものを届けたいと締めくくった。
『スプリンターセル(Splinter Cell)』リメイク版は、現在開発中。リリース時期や対応プラットフォームは今のところ明かされていない。