スクエニ新作『フォースポークン』や『FF7RI』PC版の「定価が高すぎる」と海外で話題。本当にそうなのか、高いと感じるその理由は
スクウェア・エニックスは12月10日、The Game Awards 2021にて『ファイナルファンタジーVII リメイク インターグレード』(以下、FF7RI)PC版の存在や、『フォースポークン』の発売日を明らかにした。人気作の移植と、新作発売日発表はともに注目を集めたが、イベント後にはそれらとは別のトピックが話題をさらっている。ゲームの定価である。『FF7RI』については70ドル(日本版は税込9878 円)、『フォースポークン』についても、70ドル(日本版は税込9680 円)であることが明かされた。この価格が議論を呼んでいるようである。
70ドルゲーム問題
両作については、価格が明らかになった後SNSやEurogamerなどの大手メディアなどで定価が高いとして話題が沸騰。VGCの『FF7RI』PC版の価格に疑問を呈する記事には数多くのRTやコメントが寄せられ、『フォースポークン』のSteamコミュニティには価格について不満を寄せる声が数多く集まっているのである。
しかし、なぜこのタイミングで定価の議論になったか謎な部分はあるだろう。というのも、すでに各社が開発費高騰を踏まえて、次世代機版のゲームの値上げを開始している。PS5/Xbox Series X|S版だけ10ドル高い、というケースは散見されているのだ。そして『FF7RI』はすでにPS5にて70ドルで発売されている。価格の引き上げはそもそも進められており、前例もある。それでも今回定価の高さが注目を集めた背景としては、PC版のリリースに関係しているかもしれない。
なぜ高く見えたのか
『FF7RI』と『フォースポークン』はともにPCでリリースされる。そして、PCにおいては70ドルという価格設定が珍しいのだ。もともとSteamなどで売られているゲームは安いものが多い。5ドルから50ドルまで幅広くゲームが売られている。そのなかでも、もっともゲームとして価格が高いものでも60ドル。たとえば『サイバーパンク2077』などビッグタイトルは60ドルが多い。それ以上となると、DLCやアートワークを盛り込んだデラックスエディションなど、本編以外のものを含んでいるケースがほとんど。つまり、ゲーム単体でいえば60ドルが天井だったわけだ(PC Gamer)。そこに70ドルの新作が発売されることで、ちょっとした騒ぎになっているのだろう。
なぜSteamなどで70ドルのゲームがなかったのか。それは、PC版の定価はPS4/Xbox One版と同様だったからである。たとえば『Battlefield 2042』や『Call of Duty: Vanguard』は、PS4/Xbox One/PCは同価格で、PS5/Xbox Series X|S版のみ10ドルほど高い。PCはあくまで前世代と同じ価格ラインに設定されてきた。しかし『FF7RI』と『フォースポークン』にはそもそもPS4/Xbox One版などはなく、次世代専用タイトル。価格も次世代基準であり、それをPCにもってきた結果、既存のゲームよりも高く見えてしまったのだろう。価格の是非はさておき、現在の市場水準で見ると合理的な判断とはいえるのである。
日本ではそもそも高い
ちなみに日本では、ゲームは全体的に海外よりも高く販売される傾向にある。冒頭に書いたように、『FF7RI』については70ドル(日本版は税込9878 円)、『フォースポークン』についても、70ドル(日本版は税込9680 円)で発売される。12月14日の為替レートは1ドル113円であるが、そうした為替レート基準では発売はされない。日本向けに高めの価格設定を採用しているのはスクエニだけではない。数多くのメーカーが同じ手法をとっている。
たとえば『真・女神転生V』の国内定価は税込9878円であるが、北米価格は60ドル。価格設定に差を感じる。海外メーカーも同様で、『Battlefield 2042』の通常版定価は60ドルだが、国内向けには8700円で販売されている。国内価格はそもそも高く設定されているである。
【UPDATE 2021/12/14 18:00】
日本と海外の価格差の受け入れられ方について、根拠が乏しいため記述を削除。
結局のところ、スクウェア・エニックスは市場の基準に合わせたに過ぎない。すでに次世代向けの定価が存在することから、コンソールの次世代への移行が進めば、PC版の定価へ影響が出るのは必然だっただろう。スクウェア・エニックスは、それを最初にやったというだけである。ゲームの開発費の高騰は続いている。有料でゲームを売る場合、ゲームの定価の引き上げは避けられない。ユーザーとしては、高くなる定価を受け入れざるを得ないだろう。一方で、初期投資が高くなればなるほど、初期投資を必要としない、基本プレイ無料ゲームがさらに存在感を出していく可能性もありそうだ。