Nintendo Switch本体の改造で利益を得た「クッパ」の名をもつ男に、さらなる巨額賠償金がのしかかる。合わせて約16億円

Nintendo Switch本体のハックを可能にする製品の製造・販売をおこなっていたハッカーグループTeam Xecuterのリーダー格のひとりに対し、裁判所がふたたび巨額の賠償金の支払いを命じたようだ。

Nintendo Switch本体のハックを可能にする製品の製造・販売をおこなっていたハッカーグループTeam Xecuterのリーダー格のひとりに対し、裁判所がふたたび巨額の賠償金の支払いを命じたようだ。海外メディアTorrentFreakなどが報じている。

Team Xecuterは、Nintendo Switch本体のハックを可能にするSX ProやSX Core、SX Liteといった製品を手がけていたハッカーグループだ。これらの製品は、Nintendo Switch本体のセキュリティを迂回し、独自OSであるSX OSをインストール・起動させるためのもの。これを通じて海賊版ゲームの起動が可能であったことから、米国任天堂と米国司法省がグループの主要メンバーを相手取り、著作権法違反など訴え裁判を起こしていた。


今回は判決を受けたカナダ出身のGary Bowser被告は、Team Xecuterの運営面を担当し、関連ウェブサイトの管理や、消費者・販売代理店への製品の宣伝、広告収益の管理などをおこなっていたとされる。また、第三者を装ってハック情報サイトを運営し、Team Xecuter製品のステルスマーケティングをおこなっていたとも、裁判にて指摘されている。

司法省との連邦裁判では、同被告は今年10月に司法取引に応じ、Team Xecuterによる違法行為に関与し、著作権保護されたゲームの海賊版をプレイするためのデバイスの開発・製造・販売をおこなったことを認めた。さらに、任天堂に対して450万ドル(約5億1000万円)を支払うことなどについても合意した(関連記事)。

そして、並行しておこなわれていた任天堂との民事裁判については、12月7日に和解へと至った。もともと任天堂側が今年4月に提案していた条件を、Bowser被告側が受け入れたという。その内容は、同被告が任天堂に対し1000万ドル(約11億円)の損害賠償金を支払うというものである。現時点ではまだ裁判官の承認を得ていないが、和解せずに裁判を進めた場合に想定されるものと同等の損害賠償にあたる内容として裁判所に和解案が提出されたとのことで、認められる公算が高いようだ。


Gary Bowser被告の裁判は、彼のラストネームが『スーパーマリオ』シリーズに登場するクッパの英語名と同じであることも手伝い注目を集めたが、合わせて約16億円を支払うという厳しい結果となった。同被告にはまだ刑事裁判が残っているが、司法取引をおこなったことで減刑される見込みだとされている。

なおTeam Xecuterの活動については、現在は完全に停止しているようだ。公式サイトにアクセスすると、ドメインが米国当局に押収されていることが確認できる(上の画像)。同グループの製品は、Nintendo Switch本体のハックにおいてはポピュラーな存在だったそうだが、任天堂と米国司法省の取り組みは、大きな成果をみたといえるだろう。もっとも、一部ではクローン製品が出回り始めているという指摘もあり、任天堂の戦いはまだ終わりそうにない。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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