Kalypso Media Japan株式会社は本日11月25日、ダークファンタジー・タクティカルRPG『ディサイプルズ リベレーション(Disciples: Liberation)』のPlayStation 5/PlayStation 4版を発売した。価格は7678円。本作は、PC/Xbox Series X|S/Xbox One版が先行して配信されており、今回PS5/PS4版も国内発売されたかたちだ。
本作のように、PCゲームとして比較的馴染み深いジャンルの場合、どのようにコンソールに、すなわちゲームパッドでの操作に落とし込んだのかは興味深い点だろう。開発元Frima StudiosのUI/UXディレクターJean-François Nadeau氏が、PlayStation.Blogにて解説している。
『ディサイプルズ リベレーション』は、ネヴェンダールと呼ばれる世界を冒険するダークファンタジー・タクティカルRPGだ。世界を神の手によって浄化しようとする帝国や、エルフの部族、不浄の軍団、不死者の群れといった、さまざまな勢力による戦乱の世にあり、プレイヤーはひとりの傭兵として各地を巡りクエストをこなす。プレイヤーの選択によって仲間や敵が目まぐるしく変化したり、話を聞くことでクエストの目的を変えることができたりなど、自由度の高さが特徴だという。
敵との戦闘は、マス目上でユニットを動かすターン制のタクティカルバトルを採用。50種類以上登場するユニットから、プレイスタイルに合わせてリクルートし、さまざまな武器やスキルを駆使して戦うのだ。装備の選択だけでなく、編成していない後衛のユニットのスキルも重要な要素となり、戦略性の高いバトルを楽しめる。
開発者のNadeau氏によると、開発元Frima Studiosは少数精鋭のチームであることもあって、ひとつのUI(ユーザーインターフェース)に注力するだけの時間とリソースしかなかったという。したがって、対応プラットフォームごとにUIを用意することは不可能。PC版のキーボード&マウス操作と、PS5/PS4版のDualSense/DUALSHOCK 4での操作の両方に対応させなければならなかった。そこで掲げた目標は、以下の2点だったそうだ。
・複雑なダークファンタジー・タクティカルRPGを家庭用ゲーム機で実現するために、本作のシリーズをよく知る人々が、何かを簡略化されていたり、犠牲にされていないということを確信できること。
・直感的に操作できるメニューや、DualSenseコントローラーと一体感のあるボタンマッピングの開発。
本作ではバーチャルカーソルが採用されているが、これは開発初期から検討されていたことだったという。マウスの代わりに、アナログスティックでカーソルを動かして操作する仕組みだ。そして最適化をおこなうなかでは、UIデザインに活かされることの多い、フィッツの法則を採用したとのこと。
フィッツの法則によると、ターゲットは小さくて遠いほど打ちにくくなる。そこで本作では、ターゲットとなるボタンのサイズを“仮想的”に大きくしているそうだ。実際のボタンのサイズはそのままに、ボタンの上を通過する際だけカーソルの速度を遅くするということ。たとえば半分の速度に落とせば、プレイヤーがボタン操作の判断をおこなえる時間は通常の2倍になる。これによって、ボタンを大きくしたのと同じような効果が得られるというわけだ。
Nadeau氏は本作のリードプログラマーと相談し、2日後にはプロトタイプが完成。その後数週間をかけて、さらに微調整を重ねていったとのこと。内容としては、カーソルの減速率を個々のボタンごとに変えたり、バックグラウンド画面をカーソルとは反対方向にスクロールさせ、仮想的に速度感を高めたりといったものが挙げられている。
フィッツの法則はメニューデザインにも活かされたという。たとえばインベントリのアイテムを、画面上の位置に応じて左右どちらかに表示されるようにし、操作の移動時間を短縮。滑らかなUXを実現できたそうだ。
このほか、コントローラーのボタンで簡単に主要なアクションにアクセスできるような最適化も実施。戦闘中のカメラの移動やズーム、ユニットへのアクションの割り当てなどが自然におこなえる。また、反復的な操作や、画面の広い範囲でカーソルを行ったり来たりするような操作に対し、ボタンによるショートカット機能も用意。バーチャルカーソルと使い分けることができ、本作の開発中のテストにおいても好評だったとのこと。本作をゲームパッドでプレイする際には、今回開発者が紹介してくれた細かな工夫にも注目してみてはいかがだろうか。
『ディサイプルズ リベレーション(Disciples: Liberation)』は、PS5/PS4/Xbox Series X|S/PC向けに販売中。また本日11月25日には、先行配信されているPC(Steam)版の日本語対応も実施される。なお、本作はPC(Epic Gamesストア)/Xbox Series X|S/Xbox One版も国内配信されているが、こちらが日本語に対応するのかどうかは未定とのことである。