『あつまれ どうぶつの森』で再現された「伏見稲荷大社」が美しすぎる。スゴ腕島クリエイターに“島クリのコツ”を聞いてみた
昨今の『あつまれ どうぶつの森』にて、ふたたび賑わいを見せているのが「島クリエイト」。先日実装された無料大型アップデート(Ver.2.0)および有料DLCによって、島クリエイトのバリエーションは無限大に。大勢の島クリエイターたちが、新たなアイテムや機能を活かしたクリエイションを進めているようだ。SNS上では数々の目を見張る作品が披露されている。その中で一際注目を集めたのが、国内に約3万社あるといわれる稲荷神社の総本宮「伏見稲荷大社」を再現した島クリエイトだ。
大社を再現した島内には、京都・伏見で見られる日本特有の美しい情景が閉じ込められている。色鮮やかな木々が情緒ある建造物を囲む境内。朱色の鳥居が立ち並び幻想的な景色が続く「千本鳥居」。祈願成就を試す一対の石灯籠「おもかる石」がある奥社奉拝所。大規模なクリエイションの中に、大社の見どころがしっかりと押さえられ、参拝当時の記憶がよみがえるほどのクオリティに仕上げられている。
島内に伏見稲荷大社を再現した島クリエイターは納豆氏だ。同氏は過去にも、四季折々の風情が味わえる島々を「うつせみ島」として制作。色彩豊かな和風のクリエイションが注目を集め、「夢見」を通じて1万人を超えるユーザーが島に訪れたようだ。そんなスゴ腕島クリエイターによるクリエイションはどのように進められたのか。納豆氏本人にうかがった。
まず納豆氏が伏見稲荷大社をクリエイトしようと思ったきっかけは、先日のアップデートで追加された鳥居を見た時だそうだ。同氏は昔から和の景色が好きで、日本庭園にて心が浄化されるような体験をしてからは虜になったという。そして去年には、実際に伏見稲荷大社へと参拝されており、朱色の「とりい」を見た際にパッと創作アイデアが思い浮かんだとのことだ。
同氏は創作アイデアをもとに島のクリエイションを構想。すぐさまスケッチを描き起こしたという。その後、大社に関する資料をもとにスケッチを修正し、島の開拓が開始された。構想から完成に至るまで、島クリエイトの制作期間は約11日。大規模なクリエイトがわずかな期間で仕上げられたというから驚きである。
なお島の開拓については、崖・坂・川の作成および調整、家具の設置、崖・坂・川などの再調整、全体の微調整といった流れでおこなわれたとのこと。何度も細かな調整が重ねられた結果、再現性やクオリティの高い作品として完成に至ったのだろう。
納豆氏自身の島内の推しとなるポイントは、「とりい」と「わふうなベンチ」だそうだ。どちらも先日のアップデートで登場した新アイテムである。そこで同氏にアップデートの率直な感想をうかがったところ、「“神アプデ”ではないでしょうか」との返答。新たな家具の登場はもちろん、撮影の幅を広げるとともに島開拓のバリエーションも広げてくれた「カメラアプリPRO」の導入は、モチベーションアップに繋がったとのことだ。
しかしながら、島クリエイター目線で少々残念に感じた部分もあったようだ。ひとつが、アップデートにて追加された屋外で使える和風家具が少なかったことだという。同氏のように、Twitter上の「#あつ森和風部」なるハッシュタグに集う島クリエイターたちは、同様の感想を抱いたのかもしれない。もうひとつは、マイデザインの保存枠が増えなかったことだと明かしてくれた。同氏の島クリエイトでは、他プレイヤーが制作したマイデザインや、複数自作した文字関係のマイデザインを使用しているとのこと。加えて先日のアップデートにて、新たにマイデザインが使用可能になった要素も多くあり、保存枠の確保には苦労しているようだ。島クリエイトに勤しむ島民でなくとも、同じ悩みを抱えるプレイヤーが一定数いることだろう。
なお島クリエイトを紹介する約2分間の動画は、Nintendo Switchの動画撮影機能を使用し、各映像を繋ぎ合わせて制作されたとのこと。Nintendo Switchでは1度に最大30秒の動画撮影が可能であるが、25秒ごとに保存することであまり違和感なく繋ぐことができるという。そうした撮影テクニックもあり、動画制作にはそこまで苦労しなかったそうだ。
逆に苦労したのは、島クリエイトで使用する家具の調達だという。新たな家具のカタログ登録については、SNSの仲間を通じて新アイテムを“お触り”させて貰うことでほどなく解決したそうだ。しかしその後カタログからアイテムを発注する際、“発注数は1日最大5個まで”という制限にかかってしまったため、必要数を揃えるのにかなり苦労された様子。
さらに納豆氏が知る島クリエイトのちょっとしたコツをうかがってみたところ、同じ家具、同じパターンは繰り返し使いすぎないようにすると良いそうだ。同じ家具ばかりを並べるよりも、非対称のアイテムを取り入れた方が見映えが良くなるケースが多いとアドバイスをいただいた。また日本庭園をつくる際は、「よくあるにわいし」「たかいにわいし」といった庭石に低木を組み合わせるのがおすすめとのこと。和風な島クリエイトにチャレンジする際は参考にしてみてほしい。
同氏の今回の島クリエイトについては、スペースが余っている左側のエリアをさらに開拓していく予定だという。そして開拓が終われば更地に戻し、まったく新しい和風島を制作予定であると次回作への意気込みも語ってくれた。納豆氏の「うつせみ島」には、公開中の夢番地から訪問可能だ。本稿で触れた以外にも、さまざまな見応えのある景色が堪能できる。興味のある方はぜひ1度訪れてもらいたい。
ちなみに、納豆氏おすすめの島クリエイターはももすけ氏だそうだ。ももすけ氏は、テラス席のあるパン屋さんやアンティークシェアハウスといった、内装にも並々ならぬこだわりが感じられる作品を公開している。作品の中には和風のものもあり、その完成度の高さに納豆氏も感動を覚えたようだ。こうした他の島クリエイターからの刺激も、創作活動のモチベーションアップに繋がっていることだろう。アップデートによってふたたび高まった島クリエイターたちの熱量は、しばらく冷めることはなさそうだ。
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