マイクロソフトは11月23日、Xboxのこれまでの歴史を展示したバーチャル博物館「Xbox Museum」を公開した。初代Xboxが米国で発売されてから、今年11月15日で20周年を迎えたことを記念したウェブサイトである。
Xbox Museumでは、初代Xboxから最新機種であるXbox Series X|Sまでの同社の歩みにおける、さまざまな出来事を貴重な内部資料とともに紹介。バーチャル空間の中を歩いて閲覧できる。このなかでは、マイクロソフトが任天堂の買収を試みた当時の資料も展示されているとして、ゲーマーの注目を集めているようだ。
家庭用ゲーム機市場に本格進出したマイクロソフトが、任天堂を買収しようとしていたという噂は過去にさまざま飛び交っていたが、今年1月になって事実であることが関係者から明らかにされた。初代Xboxのローンチを控えて、マイクロソフトは独占タイトルを確保するために、さまざまな企業と買収交渉をおこなっており、そのなかに任天堂も含まれていたという。
当時マイクロソフトのXbox部門サードパーティ担当ディレクターだったKevin Bachus氏は海外メディアBloombergとのインタビューにて、CEO(当時)のSteve Ballmer氏の指示のもと、任天堂に直接買収を提案したと語っている。しかし会合にて同氏は、任天堂側の担当者から1時間にわたり「死ぬほど笑われた」そうで、任天堂はマイクロソフトからの買収提案を歯牙にもかけなかったようだ(関連記事)。
今回Xbox Museumにて公開されたのは、「マイクロソフトは任天堂の買収を試みた」と題された2000年春の出来事だ。展示物によってはさらなる詳細を閲覧できるが、このセクションは画像1枚のみ。マイクロソフトのハードウェア担当バイスプレジデントだったRick Thompson氏が、任天堂の米国法人のビジネス担当エグゼクティブ・バイスプレジデントJacqualee Story氏に宛てて送った、1999年10月20日付のメールである。
メールのほとんどがタイトルに隠れていて読めないが、読み取れる部分から察するに、マイクロソフトは将来のゲームプラットフォームのために、任天堂との戦略的提携を模索していたことがうかがえる。マイクロソフトは初代Xboxの開発を進めながらも、任天堂のDolphin(2001年に発売されたゲームキューブのコードネーム)への開発協力を申し出ていた模様。この提携について、任天堂の山内溥社長や竹田玄洋氏から何らかの懸念が示されていたことで、Thompson氏は両氏との面会の機会をStory氏に求めていたようだ。
先のBloombergのインタビューにて、マイクロソフトのビジネス開発担当責任者だったBob McBreen氏は、2000年1月に任天堂と会合をもったことを明らかにしている。そこでは、マイクロソフトがXboxの技術を投入したハードウェアを開発し、任天堂がソフトウェアを手がける合弁事業を提案したそうだ。上述のメールはこのことを指していたのかもしれない。しかし、交渉は不調に終わったとのこと。
こうした経緯を経て、マイクロソフトは2000年春に任天堂に買収提案をおこない、笑い飛ばされることになったのだろう。今回公開されたメールは、そのある種歴史的な出来事に繋がった貴重な資料として、Xbox Museumに展示されることとなったのかもしれない。
なおXbox Museumではほかにも、Xboxの歴史に関するさまざまな資料や解説が展示中。たとえばXbox 360当時に発生した、いわゆる「Red Ring of Death」と呼ばれた不具合についてもあえて触れており、10億ドル以上を費やして問題を収束させたことが綴られている。Xboxと歩みをともにする『Halo』シリーズの特設ページもある。またMicrosoftアカウントにサインインすれば、ユーザーのプレイ履歴をもとにした各種情報も閲覧可能だ。興味のある方はチェックしてみてはいかがだろうか。