『メダロット』シリーズの海外名「MEDABOTS」の商標権を巡ってイマジニアが争う。商標裁判所はイマジニアの主張を全面的に支持
イマジニア株式会社は11月10日、同社が手がける『メダロット』シリーズの海外向けタイトル『MEDABOTS』の商標に関して、スペイン・アリカンテ商事裁判所から受けた暫定的措置命令に対する異議申し立てが、全面的に認められたと報告した。同商標を巡っては、同じ名称の商標を登録していた他者から、商標権侵害の申し立てがおこなわれていた。
イマジニアは、ゲームを含むコンテンツ事業をおこなう企業。最近では、Nintendo Switch向けのフィットネスゲーム『Fit Boxing』シリーズを手がけていることで知られる。今回問題になった『メダロット』シリーズは、ゲームボーイやニンテンドー3DSなど向けに、多様なジャンルで展開されているロボットゲームだ。海外では、『MEDABOTS』というタイトルにて複数の作品がリリースされている。
同社は今年1月、スペインのアリカンテ商事裁判所から、EUにて登録された商標を侵害しているとし、当該ビデオゲームをEU領域内で販売することを控える暫定的措置をとるよう、裁判所命令を受けていたと報告。その商標の登録名義人であるKevin Comadrán氏が、商標権侵害を訴えていたという。これを受けて同社は2020年11月、当該命令の取消しを求める旨の異議申し立てをおこなった。
Comadrán氏は、エコノミストとしてゲーム業界内外での経験をもち、Medabots社の代表として、同名のロボットゲーム『MEDABOTS』を開発中。同作は、Medacoinと呼ばれる独自の仮想通貨や、NFTアイテムを利用したゲームメカニクスが特徴だという。2017年から開発を開始しており、今年の12月25日にローンチ予定だとしている。もちろん、イマジニアとはまったく関係のない作品である。
同氏は2018年2月に、「MEDABOTS」についてEUでの商標登録を出願し、同年8月に登録されていた模様。一方のイマジニアも、「Medabots」としてEUにて商標登録している。申請された使用目的は多岐にわたるが、ビデオゲーム関連としている部分で両者の重複がみられる。そこでComadrán氏側が、商標権侵害を申し立てたのだろう。さらに、イマジニアに対し該当タイトルの販売中止などを求める訴訟も提起したそうだ。
こうした動きに対しイマジニアは、商標権侵害の事実は一切ないと主張。先述した、暫定的命令の取消しを求める異議申し立てをおこなった。またComadrán氏が登録した商標「MEDABOTS」に関して、『MEDABOTS(メダロット)』シリーズを2002年から海外にて数多くリリースしてきた事実をもとに、その所有権をイマジニアに変更、あるいは商標取り消しを求めて反訴した。
EU商標裁判所は今年2月1日、イマジニアの異議申し立てを全面的に認める決定をおこなったとのこと。これに対しComadrán氏側が控訴したものの、9月21日になって裁判所が控訴を棄却。イマジニアの主張を支持する判決が確定した。一方で、同社タイトルの販売中止などを求める訴訟については、現在も係争中とのことだ。依然予断は許さない状況だと思われるが、今回の商標裁判所の判断は、イマジニアに対し有利にはたらくかもしれない。
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