アクションゲーム『Kena: Bridge Of Spirits』はすでに開発費を回収。「ムジュラの仮面」ファンビデオ製作から大きく飛躍

Ember Labは10月25日、Bloombergのインタビューに答え、『Kena: Bridge Of Spirits』の開発費をすでに回収していることを明らかにした。

クリエイションスタジオEmber Labは10月25日、Bloombergのインタビューに答え、『Kena: Bridge Of Spirits』の開発費をすでに回収していることを明らかにした。同作の売上については、何をもって大きな成功とするのかは難しいとしつつ、同作の開発やPRを支援したソニーは満足しているとコメントしている。


『Kena: Bridge of Spirits』は、アクションアドベンチャーゲームだ。主人公となるのは、若きスピリットガイドのKena。彼女は、聖なる山の神殿を探し求めて荒れ果てた村を旅しており、そのなかで忘れ去られた村と奇妙な呪いについて知ることになる。そしてその秘密を解き明かすため、さまよえる精霊たちが囚われている森へと向かう。ゲームとしては、世界を探索しつつ、謎解きや戦闘をまじえていく。オーソドックスなアクションアドベンチャーになっている。

『Kena: Bridge Of Spirits』は、PS4/PS5/PC(Epic Gamesストア)向けに9月21日にリリースされた。PS5向けに最適化された美麗なグラフィックや、ハイテンポな戦闘、繊細なアニメーションやカットシーンで描かれる物語などが評価された。レビュー集積サイトMetacriticのPS5版のメタスコアは80点 。ユーザースコアは8.6と、安定した評価を獲得している。

この評価はEmber Labにとって喜ばしいものだろう。というのも、同スタジオにとって『Kena: Bridge Of Spirits』は処女作なのだ。Ember Labは、もともと企業CMのアニメーションに携わる小規模なスタジオ。2009年にMike Grier氏とJosh Grier氏の兄弟によって設立され、キャラクターや物語性のあるムービー製作に従事。MLBやコカ・コーラのPR映像を作成したほか、2016年には『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』のスタルキッドの起源を独自に解釈した二次創作映像を製作し、YouTubeにて公開。1000万回以上再生された。こうしたことをきっかけに、ゲーム開発に挑み始めたという。


『Kena: Bridge Of Spirits』のプロトタイプを制作し、さまざまなパブリッシャーに持ち込んだ結果、ソニー・インタラクティブエンタテインメントが同作を気に入り、開発費やPRサポートなどの支援を約束。はやくからPS5の開発機が提供され、PS5対応タイトルとして開発が進められた。またEmber Lab のセルフパブリッシングタイトルながら、SIEのさまざまなイベントで特集され注目を集めた。結果として、ソニーを満足させるほどの成功を収めたわけだ。本作において好評なビジュアルやアニメーションは、同スタジオのノウハウが生きた結果といえる。

なお『Kena: Bridge Of Spirits』はUE4で開発されている縁もあってか、Epic GamesストアにてPC版が独占販売されている。同ストアの独占販売においては、Epic Gamesから資金提供などを受ける例が数多く報告されており、そうした資金提供も開発費用の回収につながっている可能性はありそうだ。

なお『Kena: Bridge Of Spirits』は国内では現在ダウンロード専売であるが、H2 INTERACTIVEよりPS4/PS5向けパッケージ版が日本で発売されるようだ。発売時期は2022年春。今後の続報に期待しておこう。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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