『メトロイド ドレッド』にクレジットされていないと嘆く開発者が複数現る。開発元MercurySteamに寄せられる落胆の声
Nintendo Switch向けに発売され、高い評価を集めている『メトロイド ドレッド』。ファミ通調べによると、初週のパッケージソフトおよびダウンロードカードの売上は8万6798本におよぶといい、上々の出だし。イギリスのパッケージチャートでも好調が伝えられており、世界的に人気を博しているようだ。しかしその一方で、同作の発売を喜びながらも、複雑な心境を抱いている人々がいた。『メトロイド ドレッド』に“クレジットしてもらなかった人々”である。開発元MercurySteamの拠点スペインのメディア、Vandalが伝えている。
たとえば、Roberto Mejías氏はかつてMercurySteamに在籍。3Dアーティストとして『メトロイド ドレッド』に携わったというが、エンドロールには登場しないという。Mejías氏は同作の発売を祝い、優秀なスタッフが携わっているのでそのクオリティには驚いていないとコメント。一方で、チームメンバーとして8か月同作の開発に尽力したにもかかわらず、クレジットされていないと不満をこぼした。
さらにTania Peñaranda Hernandez氏もまた、同様に不満をこぼしている。同氏はかつてMercurySteamにて、アニメーターとして同作の開発に参加。開発チームを称え、発売を喜びながらも、自身がクレジットされていないことに悲しんでいる。Mejías氏もHernandez氏も、彼らが作ったアセットやアニメーションをゲーム内で確認しているにもかかわらず、開発スタッフとして記されてないことにショックを受けているようだ。
実は、ほかにもクレジットされていないと嘆く開発者はいるという。Vandalは、『メトロイド ドレッド』の開発に携わりながらクレジットされていないスタッフは複数いるとしており、そうしたスタッフや開発元MercurySteamに取材を敢行している。Vandal によると、MercurySteamの広報担当者は『メトロイド ドレッド』にクレジットされていないスタッフがいることを認めたという。その上で、同社ではクレジットに載るには“開発期間の25%以上”そのプロジェクトに携わらなければいけない、という規定があると説明したそうだ。例外はあるとしつつ、基本的にはこの25%ルールが適用されるようだ。
前出の3DアーティストMejías氏が聞いたところによると、『メトロイド ドレッド』の開発期間は3年(36か月)であるという。Mejías氏がMercurySteamにて同作の開発に携わったのは8か月。25%以上の参加となるには、9か月携わる必要があった。それゆえにクレジットされなかった、という理屈である。しかし、開発期間が4年だと主張するスタッフもいるようで、11か月以上関わったがクレジットされなかったと主張する開発者もいるそうだ。
またMejías氏によると、MercurySteamでは退職する42日前までにその旨を会社に伝える必要があることが契約書に記載されているという。同氏はそれを破ったがゆえに、クレジットされていないのではないかとVandalに語っているが、真実は定かではない。
いずれにせよ、『メトロイド ドレッド』が発売され、同作にクレジットされていないとこぼす開発者が複数いるようだ。ゲームのスタッフロールにクレジットされるかは、契約書や受託形態などに依存するとされている。国内ゲームでもスタッフロールに載らない例は数多くあると伝えられている(誰も見ていない時間)。スタッフロールには、少しでもプロジェクトに参加したスタッフが全員載るのが望ましいものの、会社の意向や契約などさまざまな事情でそうならないケースもある。
今回MercurySteamは、開発期間の25%以上参加したスタッフがクレジットに載ると、その条件を説明しているが、そもそもの開発期間の定義が曖昧で、25%ルールがそれぞれのスタッフに平等に機能していなければ、こうしたトラブルに発展するのもやむなしだろう。クレジットは勲章でありポートフォリオでもある。『メトロイド ドレッド』のような優れた作品のスタッフロールから漏れたとならば、開発スタッフの憤りも理解できる。はたしてこの先MercurySteamと任天堂は、スタッフロールに彼らをクレジットするのだろうか。