パブリッシャーの2Kは9月10日、バスケットボールゲーム『NBA 2K22』を発売した。対応プラットフォームはPlayStation 5/Xbox Series X|SおよびPlayStation 4/Xbox One/Nintendo Switch/PC (Steam)となっている。
本作は、NBA公認バスケットボールゲームとして20年以上の歴史を持つシリーズ最新作だ。開発は2K傘下のVisual Conceptsが担当している。本作においては、次世代機の性能を活かした過去最高クラスのビジュアル表現を実現。そして多種多様なゲームモードを導入し、さまざまなプレイヤーのニーズに応えている。特にゲームプレイトレイラーからも伝わるリアルなビジュアル表現においては、シリーズを支えるNBAファンだけでなく、シリーズ未経験のゲーマーの琴線にも触れたのではないだろうか。かくいう筆者もその1人であり、NBAについても“超”がつくほどのスター選手を知っている程度だ。
また本作では、国内通常版のオリジナルパッケージの表紙を飾るカバー選手として、ワシントン・ウィザーズの八村塁選手が抜擢されている。八村選手は『NBA 2K20』より本シリーズの日本公式アンバサダーに就任しており、その活躍を目にしたNBAファンの方も多いことだろう。とはいえ、その中にも本シリーズをまだプレイしていない方もいるかもしれない。
そこで本稿では、テイクツー・インタラクティブ・ジャパンより提供いただいたPS5版プレイのもと、次世代機版のゲーム概要および収録モードごとの特徴について、いちゲーマー視点で紹介していきたい。トレイラーを見て興味を惹かれた方やシリーズ未プレイの方に、何か少しでも響けば幸いである。
エキシビションやオンライン対戦、1on1も楽しめる「PLAY NOW」
まずゲームの基礎であり、さまざまな試合をサクッと楽しめるのが「PLAY NOW」だ。PLAY NOWからは、CPU・2P対戦が楽しめるNBAクイックマッチや、世界中のプレイヤーとオンライン対戦をおこなうオンラインクイックマッチなどにアクセスできる。またストリート上で試合をおこなうブラックトップでは、1on1から5on5まで、さまざまな試合形式が体験可能だ。
クイックマッチに挑む際は、現代NBA/USAチームやヒストリックNBAチーム、歴代NBAチームが選択可能。最新データに基づく実在のNBAスター選手や、現在に至るまでのレジェンド選手が収録されている。ファンチームを選ぶほか、チーム選択時に表示されるスターティングメンバーの総合値を参考にするといいだろう。
チーム選択後に試合が始まるわけだが、次世代機の性能を活かす技術力は試合開始直前にも体感できる。SSDによる大幅なロード時間の短縮。アリーナを埋めつくす観客の熱狂的な声援の再現。そして実在する実況チームやレポーターの解説を添えたスターティングメンバーの登場演出。これらがコートに立つ高揚感を生み出し、さながら現実のNBAの試合に向かうような錯覚を覚えるだろう。
その後のジャンプボールで幕が上がった試合中では、ドリブル・パス・シュートといった個人技や、チームメンバーの連携プレイを駆使して得点を奪い合う。特筆したいのは、最高クラスと謳われるビジュアル表現やAI制御がもたらす“試合の臨場感”だ。
本作に登場するキャラクターには、実在選手の全身を3Dスキャンしたデータを基に制作されたものが存在する。後述するWNBAの選手を含め、バスケットボールファンが納得できるクオリティを目指して制作されたそうだ。その結果として、実在選手と比較しても遜色のない、俗にいう“まるで実写”なキャラクターモデルに仕上がっている。
またキャラクターの外見だけでなく、選手の疲労度を視覚化する汗やコートに反射する光のライティングは美しく、アリーナ1階席の150人以上の観客ひとりひとりの反応もAI制御によって巧みに変化する。さらには、実在選手のモーションキャプチャーによって制作された数えきれないほどのアニメーションを収録することで、各選手の動きがよりリアルに、個性的に表現されている。
なおPS5版では、PS5向けコントローラーDualSenseの機能も活用されている。具体的には、選手のスタミナが少なくなり疲労した際にはトリガーが重くなり、ディフェンス時などにおける敵との接触具合で細かに振動が変化する。次世代機のハード性能だけでなく、新たなコントローラーの機能も取り入れることで、試合への没入感も最大限に高められているのだ。
上達への近道となる、充実したチュートリアルモード「2KU」
そんな臨場感・没入感の高い試合は、選手たちを眺めているだけでも楽しいものだが、挑むからには勝利を目指したいところ。しかしながら、操作がおぼつかない状態で試合に勝つことは難しい。実際筆者もろくに操作方法を覚えずに試合へ挑んだが、もっとも易しい難易度である「ルーキー」のCPにコテンパンにされてしまった。いきなり高難度のテクニックを覚えずとも、基本操作ぐらいは頭に入れておきたい。
本作には、PLAY NOWカテゴリ内にチュートリアルモードとして「2KU」が存在する。2KUでは、基本操作の習得や上級スキルの練習がおこなえる。チュートリアルの項目は非常に充実しており、ドリブル・シュート・パス・ディフェンスといった操作方法を、プレイムービーを見ながら練習できるのだ。シリーズ初心者の方は活用する機会も多いだろう。
なお本作では、前作からシュートゲージが一新されシュートタイミングが変更されている。またトリプルスレットやピック&ロールといったシュートチャンスをつくりだすテクニックがあり、ドリブルひとつをとっても右スティックを倒す方向・弾くなどの細かな操作(プロコントロール)によって非常に多くの選択肢が用意されている。そうした新たなシュートタイミングや、中・上級者向けといえるテクニックを本モードで学ぶことが、上達への近道となるだろう。
広大な仮想空間でNBAデビューを目指す「マイキャリア」
次に紹介するのは、広大な仮想空間でオリジナル選手を育成していく「マイキャリア」だ。なお、仮想空間の規模や内容はプラットフォームによって異なるため留意してもらいたい。PlayStation 5/Xbox Series X|S版は広大な街(ザ・シティ)、そのほかの機種はクルーズ船(ネイバーフッド)が舞台となっている。
マイキャリア開始時は、アバターとなるオリジナル選手を作成する。キャラクターの外見は、多数のプリセットの中からひとつを選び、髪型や各パーツの大きさといった細かな調整が可能だ。その後に身長や体型、シュート/ディフェンス/フィジカルといった能力値となるスキルなどを設定していく。育成したい選手のポジションにあわせて割り振っていこう。
次世代機版の舞台となる広大な街では、バスケットボール選手の卵として引っ越してきたオリジナル選手を中心として、クエスト形式で物語が進行する。物語序盤には、NBAデビューへの第1歩として大きな選択肢を選ぶことになる。選択肢の内容は、大学に行く/下部リーグであるGリーグに参加する/ドラフト宣言をしてすぐにNBA入りする、の3つ。後の展開に大きく影響するので慎重に選びたい。
ほかにもマイキャリアでは、プレイヤーの選択によって多様にストーリーが変化していく。たとえばNBA入りする際に代理人を選択する際には、大手代理店か、あるいは音楽にも長けた個性的な代理店かの2社から選択できる。大手代理店を選んだ場合は、NBA選手としてバスケットボールを極める道を進んでいく。一方、音楽にも長けた代理店を選んだ場合は、音楽業界やSNSといった新たな分野でも活躍の機会が与えられるのだ。このように選択肢次第で無数のストーリーが展開されていくマイキャリアは、RPGやアドベンチャーゲームが好きな方にもぜひチャレンジしてもらいたい。
そして広大な街は、多くのプレイヤーが集まるコミュニティエリアでもある。自身と同じく街でクエストなどをこなすプレイヤーを視認できるため、さながらMMOゲームを遊んでいるような感覚に近い。ほかのプレイヤーとはボイスチャットやエモートで交流することができ、コートやマッチメイキング用の施設に集まってさまざまな形式の試合がおこなえる。
また街中には、多くのNPCが存在するほか、アバターの服装やシューズが購入できるショップが複数点在している。そのほか、ジムでミニゲームをプレイしたり、移動手段でもあるスケートボードに乗ってトリックを決めたりと、さまざまなアクティビティが楽しめる。シーズンごとに新たなコンテンツや報酬も用意されるようだ。NBA入りが最大目標ではあるが、広大な街を気の向くまま、自由に探索してみよう。
選手カードを集めてドリームチームをつくる「マイチーム」
続いて「マイチーム」では、最新のNBAスター選手やレジェンド選手のカードを集めてドリームチームを編成し、CPU・オンライン対戦がおこなえる。各カードはスターターパックのほか、マーケットでゲーム内通貨を使用してカードパックを引くことでランダムに獲得できる。ゲーム内通貨は有料課金で入手できるほか、シーズンアジェンダ、通算アジェンダといった目標を達成していくことで獲得可能だ。不用なカードをオークションにかけて通貨を得ることもできる。まずは手持ちのカードでチームを編成し、対戦を積み重ねてアジェンダを達成。獲得したレアカードでドリームチームを築き上げよう。
なおカードラインナップには、好みのスキルブーストを付与できるシューズやバッジカード、お気に入りの見た目に変更できるユニフォームやロゴカードといった、さまざまな種類のカードが多数用意されている。シーズンごとに新たなアジェンダやカードパックも導入されていくため、長期にわたって楽しめることだろう。
以上、本稿では4種のモードの入口を紹介した。本作にはほかにも、本格的なチームマネジメントがおこなえる次世代機版の「マイNBA」(その他機種はマイGM/マイリーグモードが相当)や、女子プロバスケットボールリーグであるWNBAで活躍する選手でプレイできる「The W」といった複数のモードが収録されている。多種多様なモードの中から、好みのものを選んでほしい。
なお今回紹介したとおり、本作はプラットフォームによって収録モードや内容に差異がある。いまだ本体入手への懸念はあるものの、腰を据えてプレイするのであれば次世代機版でのプレイをおすすめしたいところだ。とはいえ、他機種版においても多くの新要素が収録されており、携帯プレイにも対応したNintendo Switch版が適しているという方もいることだろう。自身のプレイ環境に応じて選択してもらいたい。
『NBA 2K22』は、PlayStation 5/Xbox Series X|SおよびPlayStation 4/Xbox One/Nintendo Switch/Steam向けに発売中だ。八村選手がパッケージを飾る通常版の価格は、PlayStation 5/Xbox Series X|S版が税込8800円。PlayStation 4/Xbox One版が税込7700円。Nintendo Switch/Steam版 が税込6600円となっている。またNBA75周年記念エディションには、ゲーム内通貨やアイテムなどの特典が多数同梱されるほか、現世代機と次世代機(PlayStation 4とPlayStation 5、Xbox OneとXbox Series X|S)のどちらのハードでもプレイ可能だ。価格は税込14080円となっている。NBAファンの方も、筆者のようなシリーズ未経験の方も、最新作の発売を機会に1度プレイしてみてはいかがだろうか。