スクウェア・エニックス『星と翼のパラドクス』、10月31日にネットワークサービスを終了へ。アーケードゲームに訪れる苦境
スクウェア・エニックスは8月31日、アーケードゲーム『星と翼のパラドクス』のネットワークサービスを10月31日に終了することを発表した。ネットワークサービス終了後は、オフラインでの稼働のみとなるという。
『星と翼のパラドクス』は2018年より稼働を開始したアーケードゲームだ。プレイヤーは「エア・リアル」と呼ばれる機体を操り、遠い星でのエネルギー争奪戦に参戦。バトルは8vs8のチーム戦で展開し、オンラインでつながったプレイヤー同士のチームワークが問われる。
本作は世界観設定とアニメーションを株式会社サンライズが担当しており、サンライズのプロデューサーとしては「機動戦士ガンダムUC」などに携わった小形尚弘氏が参加。キャラクターデザインに貞本義行氏(「新世紀エヴァンゲリオン」など)、メカニックデザインに形部一平氏(「鉄血のオルフェンズ」など)や石垣純哉氏(『ゼノギアス』など)を迎えた作品となっている。
『星と翼のパラドクス』は2020年まで精力的なバージョンアップを実施。新ステージの実装や武器の追加、バランス調整などがおこなわれ、季節限定のクエストも実施されてきた。ただしこうしたアップデートを重ねるなかでも、運営は順風満帆というわけではなかったようだ。8月31日には、公式サイトでプロデューサーレターが公開。新型コロナウイルス感染症の影響を受け、毎週実施していた交流戦や大会イベント等が開催できなくなり、見通しが立たない状況が続いていることを伝えた。
同記事では、全国的な非常事態宣言や外出自粛によりゲームへの同時接続数が減少した影響で、8vs8のフルマッチングが困難な時間が長くなったことにも言及。その対応として、従来の8vs8に加え、新たに少人数で気軽に遊べる新しい遊びの開発に着手すると伝えた。そしてこの告知のとおり、9月30日には大型バージョンアップを実施。2人対2人のチームに分かれ、協力して敵を倒す少人数モード「翔撃戦」が導入された。
しかし『星と翼のパラドクス』のバージョンアップは、2020年9月末を最後に途絶えることとなる。同年11月には「今後の運営について」と題した告知を発表。現行のVer.1.1.5.0を最終バージョンとして、以降ネットワークサービスのみを継続する運営へ移行するとした。また、イベントカレンダーおよびランキングの更新は、2020年11月分までとなり、スマートフォン向けアプリ「星翼ナビ」のサービスも終了した。
段階的に運営を縮小してきた『星と翼のパラドクス』運営だが、本日8月31日、ネットワークサービスを10月31日23時59分に終了することを発表。オフラインでのみ稼働することを明かした。オフラインでは翔握戦(8on8モード)、翔撃戦(2on2モード)をプレイすることはできず、「おためし」モードのみ遊ぶことができるかたちとなるという。
『星と翼のパラドクス』に限らず、アーケードゲームならびにゲームセンター全体が、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、苦境を強いられているようだ。昨年には秋葉原で「セガ秋葉原2号館」や「アドアーズ秋葉原店」などが閉店、新宿では歌舞伎町の「新宿プレイランドカーニバル」がその歴史に幕を下ろすなど、大型ゲームセンターが相次いで閉鎖。さらにセガサミーホールディングスが娯楽施設運営事業から撤退したことも伝えられ(日本経済新聞)、国内全体でのゲームセンター業界縮小が報じられている。『星と翼のパラドクス』のサービス終了も、こうしたアーケードゲーム全般の不調のあおりをうけたものとして考えられるだろう。
『星と翼のパラドクス』は10月31日23時59分に、ネットワークサービス終了予定だ。