『メタルギアソリッド』の奇妙な小技がまたしても「偶然」発見される。終盤の警備兵の挙動を2Pコンで操作可能


『メタルギアソリッド』のスピードランに活用できる新たな小技が、またしても偶然発見された。つい先日、通常プレイ中のストリーマーが偶然3分近い時間短縮を可能にするスキップ(通称Boba Skip)を発見したことで話題になった本作。今回の小技は視聴者操作型のチャンネルTwitchPlaysSpeedrunsによってたまたま発見された。小技の内容はゲーム最終盤の脱出シーンにおいて、警備兵を2P側に挿したコントローラーの十字キーによって操作することができるというもので、数秒の短縮になる。


今回の発見の発端となったTwitchPlaysSpeedrunsというチャンネルは、視聴者がチャットにコマンドを打ち込んでゲームを操作するTwitchPlays系統のチャンネルのひとつ。中でも同チャンネルは、スピードランに用いられるテクニックやルートを用いてゲームのクリアを目指すチャンネルになっている。通常のTwitchPlaysチャンネルではチャットに打ち込めるコマンドは非常にシンプルな操作のみとなっているが、このチャンネルではスピードランを実現するために複雑な入力にも対応しているのが特徴。

たとえば「left500ms b500ms right500ms b500ms」とチャットした場合は左、B、右、Bを順番に0.5秒ずつ入力される。ほかにも同時押しやディレイ、繰り返しなどにも対応したコマンドシンタックスが用意されている(参考リンク)。つまり、チャットから非常に精密な操作が可能となっているのだ。ゲーム中に繰り返し利用される一連の操作には、専用のマクロコマンドが用意されていたりもする。TwitchPlaysといえば思い通りに操作がされない、混沌としたプレイの印象が強いと思われるが、このチャンネルではそういった多人数によるカオスよりも、数人のプレイヤーによる息のあったコマンド入力が見どころとなっている。

そんなTwitchPlaysSpeedrunsでなぜこのような発見がなされたのかというと、今回『メタルギアソリッド』をプレイするにあたってチャット入力をゲームに送信するBotの設定が間違えられており、チャットからのコマンド操作が1P2Pどちらのコントローラーにも送信されるようになっていたというのだ。結果、脱出シーンでの警備兵の不自然な挙動が注目され、2Pコントローラーが影響を与えているということが解明されたわけだ。

この奇妙な仕様が20年以上誰にも気付かれていなかったというのも驚きだが、この1シーンだけなぜか2P側のコントローラーで敵を操作できるという仕様そのものもかなり謎である。はたしてデバッグ用の仕様の消し忘れなのか、ただのバグなのか。その原因として有力なのが、あるボスの挙動だ。『メタルギアソリッド』ではサイコマンティスというボスが登場するが、このボスのギミックは「こちらの操作を読んでくる難敵だが、プレイヤーが2P側コントローラーで操作している場合は読めなくなる」という仕様になっている。この部分のコードが悪さをしているのではないかという予想もあるようだが、真相は謎である。


今回の小技は警備兵の処理が数秒早くなるという程度のものではあるが、ゲームのほかの部分における2P側コントローラーの影響については現在調査中とのこと。TwitchPlaysSpeedrunsが常時1P2P同時入力だったことを考えると、2P側の操作がゲームになにか影響を与えるほかのパートがあったとしたら、同チャンネルでのプレイ中にすでに発見されていた可能性が高い。その報告がなかったことを考えると少なくとも現行のルートで2P側の操作が悪さをできる箇所がある可能性は低いように思える。しかし最近の同作におけるスピードランシーンで「偶然の発見」が続いていることを考えれば、何が発見されてもおかしくはないというのが正直なところ。こういった珍妙な仕様やバグが偶然見つかり活用されていくのも、またスピードランの醍醐味のひとつといえるだろう。