『デビル メイ クライ』が『バイオハザード4』として開発されていた頃の状況について、神谷英樹氏が改めて振り返る

『デビル メイ クライ』は、もともと『バイオハザード4』にあたる作品として開発がスタートしたことは、カプコンからも公表されておりファンのあいだではよく知られた事実。当時ディレクターを務めていたプラチナゲームズの神谷英樹氏が、その舞台裏について語っている。

カプコンは8月23日、スタイリッシュアクションゲーム『デビル メイ クライ』シリーズが、誕生20周年を迎えたと発表した。同シリーズは、2001年8月23日に第1作目である『デビル メイ クライ』がPS2向けに発売。その後、2019年発売の『デビル メイ クライ 5』までナンバリングを重ね、またNinja Theoryが手がけた『DmC Devil May Cry』などのスピンオフ作品もリリースされている。

シリーズ1作目の『デビル メイ クライ』は、もともと『バイオハザード4』にあたる作品として開発がスタートしたことは、カプコンからも公表されておりファンのあいだではよく知られた事実。“これまでと違うバイオハザード”を追求した結果、完全新作である『デビル メイ クライ』へと舵を切ることになったのだという。当時ディレクターを務めていたプラチナゲームズの神谷英樹氏が、シリーズ誕生20周年に際し、その舞台裏を詳しく語っている。


神谷氏によると、当時『バイオハザード4』のポジションにあたる新作として開発していたところ、プロデューサーの三上真司氏(現Tango Gameworks代表)の指示で、新規タイトルに変更することになったという。あまりにアクション性の高い内容になってきたため、三上氏から「神谷、これもうバイオって付けるのやめへん?」「これもうバイオじゃないやろ」と指摘されたそうだ。

この決定に、当初神谷氏は不満を感じていた模様。ただ、新たにチームに加わったプログラマーの唐津麻勝俊氏が、「フワフワ浮いてる敵作りたい」「(ファントムに)火を吐かせたい」などの提案をし、神谷氏も「バイオの縛りがなけりゃそれもイケるな」と考えるようになり、「じゃあ『悪魔』ってことにして、もうやりたい放題やるか!」と、アクションゲーム化が加速度的に進むことになったという。

一方で、『バイオハザード』の世界観のもと守ってきた“実銃のリアリティ”は、逆に『デビル メイ クライ』の世界観に対してプラスに働いたそうだ。悪魔は通常の兵器では太刀打ちできない、という一般的なセオリーがあるなかで、人間が生んだ兵器で圧倒する構図に、たまらないロマンを感じたのだという。「人間も充分悪魔的なものを生み出してる」という空恐ろしさも感じつつ、ともかく「イイ!」と思ったため、そうした設定は大事にしたそうだ。


神谷氏は、『デビル メイ クライ』らしいスタイリッシュアクションが生まれた背景も明かしている。当時別の部署では『鬼武者』が開発されており、主人公の明智左馬介秀満が斬るたびに、敵が空中にポンポン跳ね上がってしまうバグがあったそうだ。これを見た神谷氏は自らの部署に戻り、プログラマーの井上和憲氏に「敵を斬って空中に跳ね上げたい!」と要望。井上氏は、斬り下ろしのモーションを逆再生させて、仮の斬り上げを即座に実装したという。

また井上氏は当時、オンメモリでの複数武器の実装や、銃のオートエイムの実装も進めていた。そして、これらのシステムが融合することで、敵を剣で跳ね上げて、そのまま銃を連射したら空中の敵を蜂の巣にするというアクションが実現。これを見た神谷氏は大興奮したそうだ。同氏は、たくさんのチームスタッフの知恵と努力で、こうした奇跡がたくさん起きて、『デビル メイ クライ』は完成したと締めくくっている。


なおカプコンは、『デビル メイ クライ』シリーズ誕生20周年を記念して、ニンテンドーeショップにてセールを開始。9月15日23時59分までの期間限定で、『デビル メイ クライ』『デビル メイ クライ 2』『デビル メイ クライ 3 スペシャル エディション』が、いずれも990円となっている。この機会に、同シリーズにふたたび触れてみてはいかがだろうか。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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