マイクロソフトの傘下デベロッパーThe Coalitionは7月27日、オンライン開催となったゲーム開発者向けイベントGDC 2021にて、Epic Gamesと協力して制作したUnreal Engine 5の技術デモ映像を公開した。
The Coalitionは、『Gears of War』シリーズを担当するスタジオとして設立され、『Gears 5』を含むシリーズの近作を手がけている。同シリーズは、もともとEpic Gamesが生み出したということもあり、これまでUnreal Engineにて開発。そして今回、最新バージョンであるUnreal Engine 5(以下、UE5)を用いた技術デモ映像が披露された。次世代ゲーミングの将来を見越し、Epic Gamesと協力して、技術的な新基準を打ち立てることが目標だという。
ひとつ目の映像は、「Alpha Point」と名付けられた技術デモだ。Xbox Series X上でリアルタイムに動作しているものをキャプチャしており、UE5の特徴である仮想化ジオメトリシステムNaniteや、動的グローバルイルミネーション・反射システムLumenなどの技術が使用されている。アセットの9割はThe Coalitionが手がけたもので、残りはUE5からも利用できるMegascansライブラリを活用したそうだ。
この技術デモでの目的には、上述した技術を含むUE5全体の評価や開発ワークフローの確認に加え、Xbox Series X|S上でのパフォーマンスの確認および問題点の洗い出しがあるとのこと。なお、映像のフレームレートや解像度については、最終的な目標を示しているとは限らない。また、あくまで技術デモであり、開発中のゲームの内容とは無関係だとしている。
もうひとつ公開された映像は、Epic Gamesが提供するデジタルヒューマン作成技術MetaHumanを活用したキャラクターレンダリングテスト。こちらもXbox Series X上でリアルタイムに動作している映像だ。非常にリアルな表現が目を引き、『Gears 5』で使用されたキャラクターモデルとの比較では、顔部分で4倍、身体部分は3倍、そして毛髪部分は250倍のトポロジー数になるという。
GDC 2021では、The CoalitionのテクニカルアートディレクターColin Penty氏が、これらの映像を解説。結論として、UE5で追加されたビジュアルシステムとXbox Series X|Sを組み合わせた場合、前世代のゲームでのビジュアル表現からの向上は明らかだとし、アーティストのポテンシャルをフルに活かせるとコメント。また、MegascansやMetaHumanの活用におけるハイブリッドなワークフローや、Temporal Super Resolutionのクオリティなどを賞賛している。
The Coalitionは、現在『Gears 5』の運営中。次なる新作についてはまだ何も発表されていないが、ファンからもっとも期待される『Gears of War』シリーズの最新作では、今回披露されたようなビジュアルクオリティが、UE5にて実現されるのかもしれない。
今回の講演の映像は、Unreal Engineの公式YouTubeチャンネルにて公開されている。後日、日本語字幕も追加されるとのことで、技術デモ映像の詳細はそちらをチェックしてほしい。また、Unreal Engine 5は現在早期アクセスとして配付中。Epic Gamesは、2022年初頭のフルリリースを目指して開発を進めている。