デベロッパーの1047 Gamesは7月22日、マルチプレイアリーナFPS『Splitgate』のオープンベータテストについて、一時的にオフライン化する措置を実施した。同作は7月13日よりクロスプレイ対応のベータテストをおこなっていたが、急激なプレイヤー数増加にともないサーバーエラーが頻発。状況の改善に向け、しばしオンラインプレイを停止するかたちとなった。
『Splitgate』はアリーナスタイルの対人FPSと、『Portal』のようなシステムを組み合わせたマルチプレイシューターだ。最大の特徴は、アリーナのさまざまな箇所にポータルを開けることができるということ。入口と出口を作ることで作動し、マップのさまざまな箇所からワープできるようになる。緊急時の離脱や裏取りに利用できるほか、高所にポータルを作って大ジャンプしたり、銃弾だけをポータルに通して奇襲をかけたり、さまざまな利用方法がある。ゲームモードにはCapture the FlagやTeam Deathmatchなどが存在。最初は全員同じ装備で試合が開始し、マップ内に出現するショットガンやSMGなどを拾ってカスタマイズしながらゲームを進めることとなる。
本作は2019年5月にSteamにてPC版がリリースされていた。そして、今年7月13日よりコンソール版に対応したクロスプレイのベータテストがスタート。 PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox Oneに対応し、7月27日のリリースに向けたオープンベータテストがおこなわれていた。
ところが、オープンベータテストの反響は開発チームの予想を大きく上回ることとなった。公式Twitterによれば、全プラットフォームでの同時接続数は、6万5000人を超えたという。同時に、複数のサーバーエラーが頻発。短期的なメンテナンスを実施していたが、対応が追いつかず、7月22日にすべてのオンラインプレイを一時停止するはこびとなった。7月23日には、現時点でのデータベースでは最大収容人数が6万5536人であると説明。サーバーの拡張が追いつくまでは、キューシステムを改善することで最大収容人数のプレイヤーが遊べるようにしつつ、長期的な取り組みとして6万5000人を超えるプレイヤー数に対応したいとしていた。それほどプレイヤー人口の規模は大きくないものの、もともと想定したキャパシティを超えたことにより、トラブルになっているようだ。
そして7月24日、1047 GamesのKevin氏よりメッセージビデオが投稿。開発チームが全リソースを割いてバックエンドの整備に当たっていると述べつつ、サーバーエラーは複数の問題に起因していると説明した。たとえばマッチメイキングシステムは一つのボトルネックとなっているが、その一点を最適化しても、新たな別のボトルネックが発見される状態だという。
現在は、先述のキューシステムが実装されている状態。一方、長期的な対策については取り組み中だという。ユーザーからは開発チームの人員増強を求める声も複数聞かれており、1047 Gamesとしてもサーバーエンジニアを雇用したいことを明らかにしている。ただし、ただちにスタッフが増えたとしても、実務に戦力として投入するにはまだ時間がかかる状態とのこと。なお同ツイートでは動画の補足事項として、バックエンドエンジニアを雇用したことを伝えている。動画撮影後に進展があったのだろう。そうした前提を述べたうえで、正式リリース日は予定どおり7月27日であることを改めて表明。ローンチに向け、スムーズなゲーム体験を実現していくことが第一目標だと述べた。
もともとPC版がリリースされていた本作だが、同時接続数は300~600人台で低迷しており、必ずしもヒット作とはいえない状況にあった。ところが、7月13日のクロスプレイ対応を機に、人口は右肩上がりを始める。開発チームはTwitterにて、同時接続数6万5000人という数字に誇りを抱きつつ、一晩で5万人から6万5000人に跳ね上がった数字に対処するのは容易なことではないとこぼす。まして1週間にして1000人から5万人に急増したプレイヤーベースに対応するのは「ほとんど人間業ではできない」と述懐した。
もともと1047 Gamesは、4人のエンジニアを中心とする小規模なチームだ。7月22日時点の投稿では、いずれのエンジニアもここのところ1日に2~3時間しか睡眠をとれていないなど、苦境を明かしている。また問題に金銭的リソースを割いてサーバーを増設することにも意欲を見せているが、稼働し続けているものが多く、スケーリングも容易でないことから、問題解決には時間がかかるとしている。
また7月23日にPlayStation Network、Steam、フォートナイトなど複数のオンラインサービスが停止していることが報じられると(IGN)、一連のサービス開発者に対し敬意ある態度を呼びかけた。「我々より規模の大きいサービスでも、人間ではないわけではない」と述べており、にわかに反響を得てしまったゲームの運営チームとして、大規模サービスのダウンに対しても共感を抱かざるを得なかったようだ。
本稿執筆時点ではオンラインプレイは復帰しており、Steam版だけで同時接続数は1万1000人を超える状態となっている(Steam DB)。すでにバックエンドエンジニア1名を新たに雇用し、7月25日にも登用予定だという1047 Games。現在の勢いをうまくハンドリングし、正式リリースにつなげていけるか注目したいところだ。