Nintendo SwitchとSteam Deck、どちらが優れているか頂上対決がネットミーム化。任天堂とValveの対決が雑に演出されていく
任天堂とValve、二大巨星の“対決”が今熱いようだ。Valveは7月16日、携帯型PCゲーム機「Steam Deck」を発表した。これまでPC上でしか楽しめなかったSteamライブラリ上のゲームが、どこでも遊べるようになるとして注目を集めるハードだ。筐体中央には7インチの液晶ディスプレイを配し、その左右には十字キーやアナログスティック、ABXYボタンを配置。トラックパッドも兼ね備える。手になじみそうなデザインから、同ハードの携帯性の高さがうかがえる。
と、同時にSteam Deckの外見は、否応なしに別のハードのことも思い起こさせる。そう、Nintendo Switchである。両者の共通点は見た目だけではない。Steam Deckの液晶はマルチタッチディスプレイとなっているほか、ジャイロ操作にも対応。さらにSteam Deck発表の約1週間前には、ちょうど新型のNintendo Switch(有機ELモデル)が発表されたばかり。一致する点が多いことから、海外メディアにおいても両者を比較する記事は発表直後から存在していた(PC Gamer/Mashable)。そして早くもネット上では、「Steam Deck対Nintendo Switch」のどちらに軍配が上がるかという“議論”が交わされているようだ。
Steam Deck発表直後の、最初期に登場した両者の対決を見てみよう。下記は、TwitterユーザーMon氏が投稿したSteam DeckとNintendo Switch、くわえてなぜかPlayStation Vitaの“比較”画像である。検討の結果、Steam DeckとPlayStation Vitaの勝利。Nintendo Switchが一世代前のPlayStation Vitaにすら敗北してしまっている。その分かれ目となったのは何か? ずばり「『ペルソナ4 ザ・ゴールデン』が遊べるか否か」、その一点だ。同作は2012年にPlayStation Vita用ソフトとして発売、2020年にはSteamに進出している。残念ながらNintendo Switchには非対応だ。
それにしたって、あまりにも比較条件が雑すぎる。この投げやりな“対決”がネット上で好評を博し、同投稿は5000リツイートを獲得。以降、ネット上では各自が恣意的すぎる条件でSteam DeckとNintendo Switchを対決させる、大喜利が活況を見せている。海外掲示板RedditユーザーのMigz616氏は、別の作品に論点をおいて両者を検討しているようだ。「Steam Deckは『League of Legends』をプレイ“できる”、Nintendo Switchは『League of Legends』をプレイ“できない”」。よって勝敗は「Nintendo Switchの勝利」。Steam DeckとNintendo Switchを引き合いに出しておきながら、実は『League of Legends』を槍玉に上げた痛烈な皮肉である。
また別のRedditユーザーmemer0512氏によれば、両者の勝負の行方は「どっちも勝利」。なぜなら「どっちもHentaiゲームが遊べるから」とのこと。Steamは2018年より成人向け表現を含む作品を容認。依然としてフィルタリングは厳しいものの、「成人向け」「変態」タグも用意されており、存在が許容されていることがわかる。一方、Nintendo SwitchはもちろんSteamより性的表現のハードルが高い。ただし、国内でも『閃乱カグラ』シリーズや『DEAD OR ALIVE Xtreme 3 Scarlet 』が発売されるなど、セクシー表現を主題とした作品は少なからず存在する。
また海外向けにはSteam作品からの移植作『Hentai vs. Evil』も発売されており、タイトルに「Hentai」を冠するゲームが任天堂ハードにて許容されたと驚きをもって報じられた(Nintendo Life)。実際の年齢指定は17歳以上ながら、ゲーム内で女性キャラクターをトップレスにできるなど、際どい内容となっている。
「Steam Deck対Nintendo Switch」の構図を印象付ける報道としては、実際のハード面の性能にまつわる情報も関わっていそうだ。というのも、Steam Deckは“ドリフト”現象を起こしにくいとの情報がValveのハードウェアエンジニアより語られている(関連記事)。ドリフト現象とは、ユーザーがアナログスティックに触れていないのに、勝手に入力操作がおこなわれる不具合のことだ。
XboxコントローラーやPS5のDualSenseなどでも報告が上がる一方、もっとも事例が顕著に挙がっているのがNintendo SwitchのJoy-Conにおけるドリフトである。一部の国では、任天堂を相手取った集団訴訟にも発展するほどで、ドリフト現象とNintendo Switchの因縁は浅くない。そのドリフトにSteam Deckが真っ向から挑んでいるということも、Steam DeckとNintendo Switchの対決を印象付ける一因となったかもしれない。ただ実際にSteam Deckのアナログスティックがドリフトしないかどうかは、発売されてから時間が経たなければわからないだろう。
Steam Deckの国内発売については、今のところまだアナウンスされていない。しかしながら、Steam Deckを紹介する映像では、本体裏側に技適マークが存在することも確認されており(0:40~)、日本発売を視野にいれていることがうかがえる。VALVE INDEXやSteamコントローラーなどのValveのハードウェア製品は株式会社デジカが運営するサイトや小売店にて国内販売されてきたことから、仲介業者を挟んだ形でSteam Deckが流通する可能性もありそうだ。実際にSteam DeckとNintendo Switchのいずれに軍配が上がるかは、やはり両ハードを手にしてから判断したいところ。双方のハードが日本国内でも円滑に流通することを期待したい。