現在『Apex Legends』がハッキング被害に遭っており、開発元Respawn Entertainmentが対応にあたっている。背景には、同スタジオがかつて手がけた『Titanfall』への不満があると推測されている。海外メディアDexertoなどが報じている。
7月4日午後になって、『Apex Legends』のゲーム内のプレイリスト表示などに、見慣れぬメッセージが表示されているとの報告が上がり始めた。その内容は、「SAVETITANFALL.COM」というURLと、「TF1 is being attacked so is Apex」というもの。『Titanfall』が攻撃を受けており、『Apex Legends』も同様であるとしている。当初は海外のPC版での報告が多かったが、のちにコンソール版や日本でも同じメッセージが表示されたとの報告が上がっている。
このほかにも、試合を終えた後に「IMPORTANT MESSAGE」がポップアップし上述のURLが表示されたり、ゲームモード選択画面にも同じ内容が現れるという報告も。この場合、ゲームモードが選択できずプレイを続けられない状態となるようだ。また、その後メッセージの内容が変化し、ウェブサイトではなくDiscordサーバーのURLに置き換わっていることも確認されている。どうやら、本作のサーバーがハック被害に遭っているようだ。
メッセージに表示されていた「SAVETITANFALL.COM」は、『Titanfall』ファンが立ち上げたウェブサイトだ。『Titanfall』のPC版には何らかの脆弱性が存在し、そこをハッカーに突かれ、サーバーに接続できずプレイできない状態が続いているという。確かにSteamでは、そうした不満が多数寄せられており、最近のレビュー評価は「圧倒的に不評」にまで落ち込んでいる。
開発元Respawnも販売元EAも、PC版『Titanfall』でのそうした状況を認識しているにもかかわらず、事実上プレイできないゲームを販売し続けていると同ウェブサイトは糾弾。そして、両社に問題に対処してもらい、ふたたび『Titanfall』を楽しめるように、コミュニティが協力して声を上げようと呼びかけている。
こうしたウェブサイトを案内していることから、『Apex Legends』をハックした人物あるいはグループは、PC版『Titanfall』の現状への不満を動機としているのだろう。ただ、今回の問題が発覚したあと同ウェブサイト「SAVETITANFALL.COM」には、『Apex Legends』への攻撃には一切関与していないとの声明が追加されている。先述した、『Apex Legends』でのメッセージの内容が変化したのは、同ウェブサイトに迷惑をかけることになるとハッカー側が配慮した結果かもしれない。
『Apex Legends』のハック被害を受けて開発元Respawnは本日7月5日午前5時、問題の調査をおこなっていると発表。1時間ごとに状況を報告しており、本稿執筆時点では解決策の内部テストをおこなっているところだとしている。本日中には対策が講じられることとなりそうだ。なお、今回のハッキングでは、プレイヤーの個人情報やアカウントへのリスクは存在しないとのこと。
PC版『Titanfall』の現状からすると、ファンの不満はもっともではある。ただ、だからといってほかのゲームをハックして、多くのプレイヤーに迷惑をかける行為は許されるものではないだろう。また、仮に攻撃を受けたことを理由にRespawnが対策に乗り出すとなれば、同様の攻撃を引き起こす口実をハッカーに与えかねない。なお、現在のところRespawnは『Titanfall』に関しては言及していない。
【UPDATE 2021/7/5 10:20】
Respawnは本日7月5日午前10時、今回のハックが引き起こしたマッチング不具合に対処するため、サーバーのアップデートをおこなったと報告した。すべてのサーバーにアップデートが適用されるまでには数時間かかるとのこと。同スタジオは、その経過や次なる対応などについて、今後もファンに報告するとしている。