『Destiny 2』開発元Bungie、“暑さ”によりスタッフらがスタジオから早く帰る。シアトルを異例の摂氏42℃が襲う
Bungieは6月29日、スタジオが所在するシアトルが「暑すぎる」ことからスタジオを早い時間で終業したという。同スタジオに勤める開発者のTwitterへの投稿から明らかになった。ツイートを投稿したのは、Bungieにてツールエンジニアを務めるJames Haywood氏。同氏は、「Bungieは暑さのためにすべてをシャットダウンしています。今日の仕事は終わりです」とツイートした。
Bungieはいわずと知れた老舗デベロッパー。『Halo』シリーズの生みの親として知られるほか、現在は『Destiny 2』を開発・運営している。その拠点はワシントン州、シアトル東部に位置する都市ベルビュー。「暑かったので早く帰った」とだけ聞くと異例の対応に思われるが、事態はそれほど簡単ではない。National Weather Serviceによれば本日、ワシントン北西部では「前例のない暑さ」に対する警報が出されているのだ。
AP通信が伝えるところによれば、シアトルは日曜に摂氏40度を記録し、歴代最高気温を更新。それでも気温の上昇はとどまることを知らず、本日には夕方までに摂氏42℃を記録した。異例の暑さはカナダから合衆国北西部にかけて広く観測されており、オレゴン州ポートランドでは46.6℃の高温が記録されている。
同地域では例年この時期、雨が多く日照時間が少ない。シアトルにおける6月の平均最高気温は21.1℃であるとされている。そのため、都市部の住民でエアコンを完備しているのは全体の半分にも満たないという。シアトル市は自宅に冷房設備のない住民に向け、「公共クーリングセンター」として市内に所在するマグナスン公園や、1000人もの収容人数を誇るAmazonのミーティングセンターを指定している。詳細は不明ながら、Bungieのスタジオにおいても同様に冷房設備が整っていなかった可能性はあるだろう。前述のHaywood氏はツイートにて「扇風機から生ぬるい風ばかり吹いてくる」として、当地の過酷な暑さを伝えている。
熱波の影響を受けた企業は、Bungieのほかにも少なくない。The Seattle Timesによれば、ワシントンに40か所の洗車場を擁する Brown Bear Car Washは先週日曜、午後3時に従業員を退勤させる措置を実施。また月曜には、航空会社 Alaska Airlinesがシアトル着/発の便を欠航にしたほか、従業員の稼働率低下にともない、大規模な遅延に直面している。 Bungieが拠点をおくベルビューには、ほかにも開発スタジオをおくデベロッパーやゲーム関連企業が数多い。よく知られた企業でいえば『ポケモンGO』のNianticがスタジオをおくほか、Unity Technologiesのオフィスの一つが所在。また『ゴースト・オブ・ツシマ』開発元として知られるSucker Punch Productionsもベルビューに拠点をおいている。いずれの企業も今回の酷暑に際しての対応は発表していないものの、開発に何らかの影響を受けた可能性はあるだろう。
海外メディア Bloomberg記者の Jason Schreier氏が「シアトルのAAAゲーム開発者から、“暑すぎて誰も仕事ができない”とのメッセージを数多く受け取っている」とジョーク交じりに伝えると、シアトルに近いレドモンドに拠点を構える343 Industriesプロデューサーの Lola 白石氏が反応。「エアコンをつけろ」と口にする人々に対し苦言を呈するほか、エアコンに依存する各社サーバールームの安否について思いを馳せている。
今回の熱波は米国北西部を覆う高気圧のドームにより引き起こされ、人間由来の気候変動によりさらに強烈な影響をもたらしているという。国立気象局によると、暑さは少なくとも週の半ばまで、さらに東の地域にとどまると予想されている。当地のデベロッパーたちには、くれぐれも安全に過ごしてほしいところだ。