Iron Gate Studioは6月24日、北欧神話サバイバル『Valheim』にてパッチ0.155.7を配信した。モンスターのAIが改善されており、モンスターがプレイヤーを攻撃できない場合、より積極的に建物を攻撃するようになった。ゲームの安定性を向上させたり、夏至祭を祝うメイポールが追加されたりと小規模ではあるが、充実したパッチになるかと思われた。ところがパッチ後本作を遊んだユーザーからは不満が多く寄せられている。プレイヤーが近くにいても、モンスターが建物の破壊を優先するからだ。
具体的には、RedditではHiEffort氏が投稿した動画が話題になっている。ドラウグルが拠点を襲撃する場面、プレイヤーを攻撃するかと思いきや、回れ右して石壁を壊し始める。またプレイヤーに向かってきて一発殴ると、また振り返って壁を殴り始める。建物の破壊とプレイヤーへの攻撃が半々といったところだ。バグというほどではないにせよ、不思議な挙動をしている。
『Valheim』のRedditコミュニティr/valheimでは、「Fix the AI behavior(AIの挙動を修正して)」と題されたスレッドが立っている。投稿者のshenxif氏の場合は、黒い森で鉱石を掘って灰色ドワーフを怒らせてしまったケース。灰色ドワーフはプレイヤーにまっすぐ向かって来るかと思いきや、自動生成された石の塔のドアを見つけしばらく攻撃していたという。
一方Squatch11氏は、3匹のトロールに絶え間なく拠点を攻撃されたそうだ。ただしトロールはプレイヤーをターゲットせず、拠点の半分が破壊されてしまったという悲しい報告をおこなっている。またドラウグルが自分の村を自分で破壊するという、おかしな報告もある。ほかにも、モンスターの挙動に関する報告が多数寄せられている。
『Valheim』のテストフォーラムでも、敵がプレイヤーではなくワークベンチをターゲットする問題が報告されている。しかしこの敵の挙動は意図されたもののようだ。フォーラムの管理者Smiffe氏によれば、現在のシステムではこのような動作をするものであるという。モンスターがプレイヤーをターゲットできないとき、設置されたアイテムをしばらく攻撃する。アイテムへの攻撃が終わると、またプレイヤーを探し始める。ワークベンチとプレヤーを同時に発見した場合は、プレイヤーへ向うはずとのこと。しかしコミュニティの反応を見る限りでは、パッチの品質に疑問を持っているプレイヤーも多い。
実際にパッチ0.155.7をプレイしてみると、モンスターの挙動が明らかに変化している。拠点内に灰色ドワーフがスポーンした場合、こちらへ向かっては来るが、数メートル距離をとるとすぐに建築物へターゲットして破壊を始める。仮拠点の周りに灰色ドワーフの群れがスポーンしたときも、以前よりはるかに拠点の破壊に集中していた。たしかにモンスターの建築物への優先度がかなり高くなっているようだった。
しかし現在Iron Gate Studioは夏休みの休暇中。数週間は休暇をとり、その後大型アップデート「炉床と家」にリソースを集中する予定だ。モンスターのAIが修正されるとしても今すぐにとはいかず、数週間先になりそうだ。襲撃イベントが発生した場合、現在の環境では拠点が大きく破壊される可能性が高い。いまのところ考えられる対策としては、堀を作っておくくらいだろう。基地の周囲をモンスターが突破しづらい地形にし囲っておこう。
『Valheim』はサバイバルゲームであり、プレイヤーは容赦なく打ちのめされることもある。しかしサバイバルゲームかといってシビア過ぎず、また拠点の建築も安定して楽しめることが本作が評価されてきた理由のひとつだ。これまでのバランスとはうってかわり、やたらと建築物を破壊されるのは多くのプレイヤーにとって嬉しいことではないはず。しかし一方で、よりゲームの難易度を高める意図があり、狙ったとおりのバランスになったのかもしれない。今後のIron Gate Studioの対応に注目が集まる。