極寒都市サバイバル『Frostpunk』の開発元、自社ゲームエンジンを諦めUnreal Engineに移行。新作のティザー映像を公開
デベロッパーの11 Bit Studiosは6月14日、今後の作品についてはUnreal Engineにて開発をおこなうとし、未発表タイトルのティザー映像を公開した。
11 Bit Studiosは、極寒都市サバイバル・ストラテジーゲーム『Frostpunk』や、戦時下の一般市民を描いたサバイバルゲーム『This War of Mine』などで知られるデベロッパーであり、また他社作品のパブリッシングも手がけるポーランドのスタジオだ。同社はこれまで、自社ゲームエンジンであるLiquid Engineを使用してきたが、今後の作品はすべてUnreal Engineを使用するよう方針転換したという。
Liquid Engineは2010年から開発が始められ、11 Bit Studiosのデビュー作であるタワーオフェンスゲーム『Anomaly: Warzone Earth』から一貫してして使用されてきた。作品ごとに改良が重ねられ、たとえば『This War of Mine』ではAIの行動を定義するBehaviour Tree Editorを追加。また『Frostpunk』においては、インテルともコラボレーションし、雪のシミュレーションおよびレンダリングシステムが実装されている。
直近の作品である『Frostpunk』では複数のDLCが配信され、今年4月時点で300万本を売り上げる成功を収めている。この間には、ゲームエンジンに由来する開発上のトラブルなどは特に聞こえてこなかったが、自社エンジンのこれ以上の拡張を諦め、思いきってUnreal Engineに移行したようだ。
11 Bit StudiosのPR担当者Konrad Adamczewski氏は、今後Liquid Engineを一般公開するのかどうか問われた際に、誰もが直感的に扱えるツールかどうか分からないと述べている。また、スタジオの最古参スタッフだけが適切な扱いを心得ているともコメント。これがUnreal Engineに切り替えた理由かどうかは分からないが、特に新たに入ってきたスタッフにとっては、Liquid Engineには扱いにくい側面があったのかもしれない。
Unreal Engineには非常に多くの採用例があり、サポート面の不安は少ないはず。また、今年5月からは次期バージョンであるUnreal Engine 5の早期アクセスが開始。2022年初頭に予定する正式リリースに向けてさまざまな新機能が導入されており、開発者にとって魅力的なツールでもあるだろう。
11 Bit Studiosは昨年7月、7本の新作に対して計2100万ドル(約23億円)を超える出資を実施。この中には、『Moonlighter』の開発元Digital Sun Gamesが手がける2本の新作も含まれている。そして、自社タイトルとしては3本の新作を開発中。それぞれ、「Project 8」「Eleanor」「Dolly」というコードネームで呼ばれているそうだ(GamesIndustry.biz)。
今回公開されたティザー映像では、人骨が散乱する洞窟や、宇宙服のようなスーツを着た人が、荒涼とした土地で何らかの装置を操作している様子などが見られる。すべてUnreal Engineにて制作されたゲームエンジン映像だという。また、先日公開された上の映像では、雪深い世界と、血を流して座り込む人物を描写。おそらく、こちらもUnreal Engineで開発中の新作だろう。この謎の作品については、8月12日に正式発表するとのこと。どのような作品となるのか、またいかなるビジュアルで描かれるのか注目される。