『ポケモンGO』の“コロナ禍が終わったかのような”調整が批判され抗議署名集まる。鍵を握るのは距離仕様か

Nianticは6月22日、『ポケモンGO』における今後の調整方針を表明した。『ポケモンGO』は、新型コロナウイルス感染拡大を受け、昨年3月に自宅でも遊びやすくなるように調整が加えられた。しかしこの変更表明が批判を呼んでいるようだ。

Nianticは6月22日、『ポケモンGO』における今後の調整方針を表明した。『ポケモンGO』は、新型コロナウイルス感染拡大を受け、昨年3月に自宅でも遊びやすくなるように調整が加えられた。家でもポケモンが捕まえやすく、またポケストップやジムにもアクセスしやすくなったのだ。あれから一年が経ち、ワクチンを接種する人々も増加。世界の一部では、新型コロナウイルスの被害も収まり外出しやすくなっている国も存在する。そんな状況を受け、Nianticは仕様の変更に着手。一部国を対象に、家でのプレイボーナスを一部廃止し、外出を促すような調整をすると予告した。その仕様変更が批判を呼び込んでいるようだ。Nianticはポケストップやジムにアクセスできる距離の延長ボーナスの削減も予告しており、Change.orgではこの仕様変更に反対するオンライン署名活動が展開。6月23日15時30分時点で、4万7000人以上のユーザーがこの署名にサインしている。


なぜ批判が集まっているのか。第一に、多くの国が新型コロナウイルスに苦しんでいる状況の中、そうした状況が終わったかのようなメッセージを出したことに疑問を抱く人がいるようだ。たとえば日本は東京や大阪では緊急事態宣言が解除されたが、余談を許さない状況が続いている。そうした国への配慮が足りないと考えるユーザーもいるだろう。とはいえ、Nianticは仕様変更については慎重に言葉を選んでいる。新仕様はニュージーランドとアメリカを対象に実験的にテストをしていくことを表明しているほか、各国の状況を見つつこの仕様を導入していくと語っている。公式サイトの文言を読めば、新型コロナウイルスが終わったとNianticが考えているようには思えないだろう。

むしろ批判が集まっているのは、調整内容の方かもしれない。新しい仕様においては、新要素も導入される一方で、削除される要素も存在する。たとえば、止まっている時のお香のボーナス効果はコロナ禍の前の通常状態 に戻るほか、相棒ポケモンが持ってきてくれるギフトの数も減少。そして大きいのが、ポケストップやジムにアクセスできる距離の延長ボーナスの削減だ。


新型コロナウイルス感染が拡大した際に、Nianticは『ポケモンGO』を家にいても遊べるように調整を実施。そのひとつが、ジムやポケストップを回すことができる距離の延長であった。同作ではポケストップやジムを回すことで、アイテムやギフトを入手できる。またジムではジムバトルにも参加可能。これらの施設にはプレイヤーの現在地から周囲の一定の距離まで、アクセスできる。コロナ禍に入ってからの調整により、これらのアクセス可能距離が伸びていたわけだ。おかげで、一部ユーザーは、通常であれば家からギリギリ届かないポケストップやジムにも、アクセスできていたのである。

しかしながら、新仕様ではこの距離ボーナスは削減される。この仕様変更について不満をもらすユーザーの声が数多く生まれている。好評を博していた要素のひとつということで、惜しまれているのだろう。現にChange.orgの署名も、距離延長ボーナスの削減に抗議し撤回を要求するものだ。またアクセス距離については、Nianticとユーザー間でコミュニケーションミスもあったようだ。というのも、ポケストップとジムのアクセス距離が延長された際に、Nianticはこの仕様変更が恒久的なものであると表明していた。

しかし昨年10月に、同仕様は恒久的なものではなく、当面の間継続されると表現を変更 。Nianticのサポートも「恒久」という表現は誤っていたと訂正していた(Pokemon Go Hub)。ただ、そうした表現訂正を認識していたユーザーは多くない。「恒久的だと言っていたではないか」「発言を覆すのか」と憤るユーザーが、Change.orgの署名では数多く見かけられる。Redditでも数多くのプレイヤーが仕様変更に反対。訂正の有無にかかわらず、恒久的と明言された仕様がのちに覆されたことに不信感を持つのは理解できるだろう。

https://twitter.com/Spark_PoGoLead/status/1407303787908419595


アメリカのTwitterでは6月22日、新仕様の撤回を求めるメッセージが寄せられ「#Niantic」がトレンド入りしていたとのこと。Nianticは位置情報ゲームというジャンルの特殊さからか、運営タイトルで技術的な不具合を起こすことが多く、カスタマーサポートの面でも評価は低いなど、一部の熱心なユーザーからあまり信頼されていない側面がある。ユーザーに開示しない仕様変更もしばしばおこなっており、普段の不満に今回の仕様変更が紐付けられている面もあるだろう。しかしながら、アクセス可能距離は『ポケモンGO』のゲームプレイのコアになる部分。便利で慣れてしまったものを取り上げられれば、ユーザーとしては不満を抱きやすい。実際にポケストップやジムへのアクセス可能距離が縮まれば、さらなる不満が寄せられそうだ。Nianticは、どのようなアクションを起こすのだろうか。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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