『ドラゴンクエスト XI』プレイヤーより、“デバッグマップ”らしき場所に迷い込んだとの報告相次ぐ。仕様変更が関係か

『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』ユーザーから、デバッグマップらしき場所に迷い込んだとの報告が相次いでいる。『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』本編に存在しない、白背景のデバッグマップのような場所が迷い込む珍現象。

『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』(以下、ドラクエ11)ユーザーから、デバッグマップらしき場所に迷い込んだとの報告が相次いでいる。同作はもともとPS4とニンテンドー3DSにて発売されていた。PS4版については、その後追加要素などを含めた『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S』(以下、ドラクエ11S)として、さまざまなプラットフォームに展開されている。その中のWindows 10版『ドラクエ11S』を遊ぶユーザーから、起動時にデバッグマップが表示されたとの報告が寄せられている。

たとえばTwitterユーザーぽちょむきん氏のツイート。同氏は5月28日、Xbox Game Passにて『ドラクエ11S』をプレイしようとしたという。しかしゲームを立ち上げると、デバッグマップのような場所が表示されたそうだ。その時の様子を動画にした同氏の投稿が、Twitterにて一部話題を呼んだ。デバッグマップに遭遇したユーザーはぽちょむきん氏だけではないようで、海外ユーザーからも同マップに迷い込んだとの報告が寄せられている。

https://twitter.com/MonkeyMagicEden/status/1398155142243966976


このデバッグマップは、真っ白なフィールドとなっており、「MapJumpMenu」「Clear Preload」といった立体ロゴが並んでいる。足元にはいろいろとイラストや文字が書き込まれており、ゲーム進行に関連した記述などが地面に記されていることが確認できる。地図や方位なども描かれており、地図になっているようだ。YouTubeユーザーのカネキダ氏も同現象に遭遇。同氏はこの場所でコマンド入力をするなど、何ができるか検証をしている。「あらすじが 見つからなかった」など、やや珍しいテキストも発見したようだ。当然、このような場所はゲーム本編に存在しない。


報告内容に共通するのは、いずれのユーザーもXbox Game PassのWindows 10版を遊んでいたということ。同作は、マイクロソフトによる定額ゲームサービスXbox Game Pass向けに提供されており、Windows 10ユーザーおよびXboxユーザーは気軽に『ドラクエ11S』をプレイできる。Windows 10版にて、同現象が確認されているようだ。しかし謎が残るのは、なぜこのタイミングなのかという点。というのも、Windows 10版がリリースされたのは昨年12月なのだ。Game Pass入りしたのも昨年12月。リリースから今に至るまでの半年間、デバッグマップは発見報告されていなかった。なぜ今目撃が相次いでいるのか。それはある仕様変更が関係しているかもしれない。

スクウェア・エニックスは5月27日に『ドラクエ11S』PC版に手を加えている。同作のSteam版からDenuvoを削除したことが確認されているのだ(SteamDB)。Denuvoは、Denuvo Software Solutionsが提供しているコピー防止技術だ。ユーザーのアカウントと購入したゲームを紐付けるDRMを保護し、海賊版の流出を防ぐ目的に使用される。PCゲームのクラック防止に強みをもっており、大手タイトルのPC版にてDenuvoが採用される事例は多い。Denuvoはゲームのパフォーマンスを低下させる可能性も指摘されており、ユーザーからはあまり喜ばれない。リリース直後にDenuvoを搭載することにより海賊版流出および拡散を防ぎ、そうしたクラック行為によるリスクが落ち着いた頃に削除する運用法は主流になっている。


5月27日のDenuvo削除が確認されているのは、Steam版『ドラクエ11S』であるが、察するにSteamに限らず各ストアにて同様の措置が取られたのだろう。そして奇しくも5月27日より、デバッグマップ発見が相次いでいる。実際に何があったのかはスクウェア・エニックスのみ知るところであるが、Denuvo削除という仕様変更によって、ゲーム起動時のメカニズムなどが変わり、デバッグマップが出てくるようになったという可能性はありそうだ。なおコミュニティなど見る限り、Steam版プレイヤーからはデバッグマップの報告は出ていないようだ。

『ドラクエ11』といえば、高い完成度を誇る作品。大作であるにもかかわらず、目立ったバグ報告もなく、発売されてから不具合修正アップデートなどもなし。Unreal Engine 4を用いて開発されていることは告知されていたものの、開発の“裏側”を見せてこない作品であった。それゆえに、そうした裏側を見せる、デバッグマップの発見は衝撃が大きかったことだろう。このマップに出会ったユーザーは、不運でもある一方で幸運でもあるかもしれない。この現象に遭遇した場合、ロードし直したり再インストールしたりすることによって直るそうだ。

『ドラクエ11S』は、PS4/Xbox One/Nintendo Switch/PC(Steam・Windows 10)向けに発売中。Xbox Game Pass提供タイトルでもある。スクウェア・エニックスは現在、次回作として『ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎』を開発中だ。

【UPDATE 2021/5/31 17:40】
このデバッグマップについては、すでに2020年11月時点でTwitterユーザーみの氏が発見していたそうだ。Steamにて起動オプションに任意の文字列を入力することで出現させたようだ。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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