セクシーお風呂系配信者、Twitchにて広告収益を無効化される。不透明なちゃぷちゃぷの壁
人気配信者Kaitlyn “Amouranth” Siragusa氏は5月19日、自身のTwitch内の広告収益が停止されたことを報告した。停止期限および広告配信の再開可否については明かされていないとのこと。事前警告はなく、突如として停止されたという。Twitch内で配信者が収益を得る方法はいくつか存在する。その中のひとつである広告収益が、突然無効化されたと報告しているわけだ。
Amouranth氏はセクシー系配信者だ。ゲームをすることもあるが、彼女の主戦場は雑談(Just Chatting)だ。おしゃべりをしながら、視聴者からのコメントに反応したりジョークをかわしたりし、時間を過ごす。もちろん、視聴者を飽きさせないように、アクティビティなどをまじえながら、配信を繰り広げる。
Amouranth氏は、その美貌とプロポーションなどが人気を呼んでおり、270万人以上のTwitchフォロワーを抱えている。セクシー系配信者の中でも特に有名な人物。昨年までは薄着にて室内で配信することがもっぱらであったが、最近はめっきり風呂浸りである。というのも、Twitch内では最近になり、Hot Tub Livestreamというワードがトレンドになっているのだ。
Hot Tubとは、直訳すると風呂桶だ。いうなれば浴槽からTwitchにてライブ配信するのが、Hot Tub Livestreamである。なぜ風呂で配信するのか。それは、運営からのペナルティ回避などがメリットとしてあげられる。Twitchでは、性的なコンテンツの配信について、ガイドラインにて規準が定められており、それらに従う必要がある。乳首の露出が禁じられているほか、腰から下腹部および臀部までの範囲を必ず覆わなければならない。授乳に関する例外措置や透明な衣服の着用禁止など、細かな取り決めが存在する。そうしたガイドラインを守れているか、セクシー系配信者は気にしなければならないのだ。
一方で、プールなど特定の場所ならば水着の着用を認めると定められている。もちろん、水着でも乳首などを露出すれば処分されるものの、何が下着で、どの程度の露出がアウトなのか、といったガイドラインとの駆け引きは必要ない。お風呂という環境は、演出面でも自由度が高く、水の音がパシャパシャ聞こえるだけでも“雰囲気”がある特別な場所。視聴者からも好評ということで、お風呂で水着にて雑談する女性配信者が増加中。以前より存在する文化ではあったが、2021年に入りHot Tubがメタであると揶揄されてきた。その先頭を走ってきたひとりが、Amouranth氏だというわけだ。
つまり、お風呂での水着配信は原則としてシロである。Twitch運営も、同行為についてこれまで認めてきた。しかしながら、それはあくまでコンテンツ配信として問題ないというだけ。広告配信の対象になるかどうかは、別のジャッジがはたらく。現にAmouranth氏も、コンテンツ配信自体を停止されたわけではない。Amouranth氏は、配信者としての活動は認められながらも、プラットフォームの広告収益を得る権利を失ったのである。
Amouranth氏は5月19日14時現在もTwitchで配信活動中。サブスクライブや募金などで、収益を得ている。しかし同氏のストリームをどれだけ見ていても、広告が現れない。同氏は広告収益を無効化された際、配信者が規約を破っていなくとも、Twitchもしくは広告主が好ましくないと判断した時に、Twitch運営の裁量によって個別のチャンネルの収益化を無効化できるという前例になりえるとコメント。そしてその収益化に関するガイドラインは明示されておらず、線引きが難しいと述べた。コンテンツ配信のガイドラインと広告配信のルールは別で、後者は可視化されていない。同氏と同じようなことをしている配信者も、広告収益が無効化される可能性はあると、警告したわけだ。
露骨な性的コンテンツと化しているHot Tub配信をめぐっては、その可否が議論されることも多い。Twitchのチャット欄などではHot Tubという単語が使用禁止であると報道されており(Dexerto)、運営側として扱いに苦慮していることが伺える。先日には人気ストリーマーPokimane氏が、自身の誕生日にHot Tub配信を敢行。ただし、水着がプリントされたTシャツ着用で、肌はほとんど見せないという、皮肉を込めた内容になっており笑いを誘った。なおPokimane氏本人は、Hot Tubを取り締まっても、Hot Tubの代わりとなるペナルティ回避方法が出てくるだけなので、規制する意味はないという旨の見解を示している。
Amouranth氏の広告収益停止処分が、Twitch側の見せしめなのか、広告主の要望なのかは不明。一般的に広告出稿においては、性とギャンブルについては厳しい。広告主がHot TubにNOをつきつけた可能性もあるだろう。いずれにせよ、今後、水着を着て配信するストリーマーが、Twitchから減っていく可能性はありそうだ。