『バイオハザード ヴィレッジ』の敵デザインについて、映画「武器人間」監督が不満げ。「偶然にしては似すぎ」

 

映画「武器人間(Frankenstein’s Army)」の監督を務めたRichard Raaphorst氏が、『バイオハザード ヴィレッジ』に登場する特定の敵のデザインについて不満を漏らしているようだ。Raaphorst氏が、SNSやLinkedInを介して悲しみの言葉を綴っており、PC Gamerなどの各メディアが報じている 。なお、本稿にはゲーム『バイオハザード ヴィレッジ』および映画「武器人間」のネタバレが部分的に含まれているので注意してほしい。





「武器人間」は、2013年に公開されたホラー映画。1945年、第二次世界大戦の東ヨーロッパを舞台に、ナチスドイツが生み出したという、死体と機械を合体させて生まれた禁断の生物「武器人間」をめぐる物語が描かれる。同作では、多彩な武器人間が登場する。死体と機械を合体させるという設定を生かし、ドリルと人間を合体させたり、鎧と人間を融合させたりと、10種類以上の多彩な化け物が暴れまわる。その中のジャパンヘッド(プロペラヘッド)が、『バイオハザード ヴィレッジ』に登場する敵に似ていると伝えられている。ジャパンヘッド(プロペラヘッド)とは、頭部にプロペラをつけたキャラである。


似ているとされるのは、工場ステージにて出現するボスキャラ、シュツルムだ。シュツルムはなんといっても、その異様なデザインが特徴。頭部にプロペラをつけており、そのプロペラ音をもってイーサンを追い詰める。突進してくるだけでも、威圧感がある。さらに風と炎を使った攻撃でも、プレイヤーを苦しめるのだ。このシュツルムが、ジャパンヘッド(プロペラヘッド)に似ていると言われている。


ジャパンヘッド(プロペラヘッド)もシュツルムもプロペラを頭部につけたキャラ。デザインは似ている。さらに背中が脆弱という点も、最終的に炎に包まれて倒れるという点も共通している。Raaphorst氏はLinkedInにて「2013年に、僕は武器人間という作品を監督した。僕自身がクリーチャーをデザインし、さまざまな化け物を登場させた映画だった。そのうちのひとつが、許可もクレジットもなく『バイオハザード』の新作に使用されている」と投稿した。

さらに、TwitterユーザーCloneKorpは、ジャパンヘッド(プロペラヘッド)だけでなく、さまざまな「武器人間」のモンスターデザインが、『バイオハザード ヴィレッジ』に使用されていると指摘。たとえば『バイオハザード ヴィレッジ』のハウラーは「武器人間」のケロイダーに似ている、といった次第。こうしたキャラ群はジャパンヘッド(プロペラヘッド)とシュツルムほどの類似点は感じられないが、身体の一部に武器を装着するといった特徴は、同映画の影響を感じさせる。この比較画像についてRaaphorst氏は「思ってた以上によくないな。最初は怒りを感じ、そのうちに誇りを感じたが、今は悲しみを抱いている」と返信している。


一方でRaaphorst氏は、カプコンに法的措置をとろうとは思っていないようだ。PC Gamerの取材に対しRaaphorst氏は、カプコンが意図的に「武器人間」のデザインを使用したかは定かではないとしつつ、偶然にしては一致しすぎたとコメント。「事前に知らせてくれれば、喜んで承諾したのに」とこぼしている。法的措置をとる予定はなく、ただ自分にクレジットをつけてほしいと願った。

ホラーゲームにおいては、プレイヤーに怖さを与えることが非常に重要。その中でも、キャラクターデザインが担う役割は大きい。見るものを不安にさせる敵キャラは、そのホラーゲームシリーズのアイデンティティにもなりえる。『バイオハザード ヴィレッジ』は、敵キャラのデザインも多彩でこだわられている。一部キャラは「武器人間」のキャラクターデザインからインスピレーションを受けていた可能性はありそうだ。現段階で大きな訴訟に発展する見込みはなさそうであるが、カプコンはRaaphorst氏の訴えを聞き入れるのだろうか。
【UPDATE 2021/5/11 13:20】
ジャパンヘッドについて、ジャパンヘッド(プロペラヘッド)との記載に変更