Nintendo Switch『リングフィット アドベンチャー』は「腰痛」に医学的に効果ありとの報告。千葉大医学部が研究論文を発表

『リングフィット アドベンチャー』のプレイによって慢性腰痛の痛みを緩和する効果が認められたとする論文が発表されていたことが明らかになり、注目を集めているようだ。千葉大医学部による論文である。

任天堂のNintendo Switch向けフィットネスアドベンチャーゲーム『リングフィット アドベンチャー』について、本作のプレイによって慢性腰痛の痛みを緩和する効果が認められたとする論文が発表されていたことが明らかになり、注目を集めているようだ。

『リングフィット アドベンチャー』は、フィットネスをテーマにした体感ゲームだ。身体の各部位の動きを検知できる専用周辺機器リングコンと、レッグバンドに装着したJoy-Conを使って楽しむ。プレイヤーはファンタジー世界を冒険しながら、専門家の監修を受けたさまざまなフィットネスプログラムに挑戦。家の中で本格的な運動ができるとして人気を博し、一時期品薄状態が続いたことでも知られる。


今回明らかになった論文は、千葉大学医学部の研究チームにより今年4月に発表された。近年は、Exergaming(テレビゲームを使ったエクササイズ)による治療効果についての研究が増えてきているものの、慢性腰痛の分野に関してはまだあまり研究が進んでいないという。そこで同チームは、『リングフィット アドベンチャー』のプレイが慢性腰痛に有効だとする仮説を立てた上で、研究に取り組んだそうだ。

研究は、慢性腰痛を患う患者40名の協力を得て実施。このうち無作為に選んだ20名(男性9人/女性11人/平均年齢49.3歳)については、『リングフィット アドベンチャー』を週に1回・40分プレイしてもらい、残る20名(男性12人/女性8人/平均年齢55.6歳)に対しては内服療法を実施するという内容だ。これを8週間続け、患者の痛みおよび心理的な側面から分析がおこなわれた。

その結果は、『リングフィット アドベンチャー』をプレイしたグループでは、腰背部や臀部の痛み、また痛みに対する自己効力感が大幅に改善したとのこと。ただ、下肢の痺れのほか、痛みの破局化や運動恐怖症については大きな改善は見られなかったという。一方の内服療法をおこなったグループでは、有意な改善がなかったとしている。


こうした結果を受けて研究チームは、『リングフィット アドベンチャー』を使ったExergamingにおいては、患者の自己効力感の向上、すなわち痛みを自らの力でコントロールできているという感覚が高まったことが、腰痛の軽減につながったと結論づけている。患者の心理面への影響が、好ましい結果に表れた。そして、Exergamingは慢性腰痛の治療に最適だとし、今後は運動によって自己効力感の向上を高める治療方法を確立していく必要性があるだろうと提言。また社会の変化に合わせて、Exergamingはさらに発展していく可能性があるとも述べている。

『リングフィットアドベンチャー』では、筋トレやヨガ、有酸素運動などさまざまなアクティビティが取り入れられており、身体を引き締めることや減量に効果があるとされている。SNSやブログでそうした体験談を見かけたことがあるだろう。今回の研究は、同作が慢性腰痛に一部効果があると報告する内容。そうした効果を狙ってのアクティビティも存在しているが、実際に腰痛に効くと医学界から報告された意義は大きいだろう。

リングフィット アドベンチャー』は、Nintendo Switch向けに販売中だ。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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