チェルノブイリ・サバイバルFPS『S.T.A.L.K.E.R. 2』のXbox Series X|S版は、3か月間の時限独占か。裁判資料にて記載が見つかる
Epic GamesによるiOS版『フォートナイト』への独自決済機能の導入、およびAppleによる同作のApp Storeからの削除に端を発する両社の法廷闘争は現在も続いており、さまざまな証人が出廷。証人のひとりである、マイクロソフトのXbox事業開発担当バイスプレジデントLori Wright氏から裁判所に提出された資料に、Xbox事業にまつわる内部情報が含まれているとして注目を集めているようだ。海外メディアThe Vergeなどが報じている。
その資料は、今年4月30日になって公開された、Xboxポートフォリオチームが作成した社外秘資料だ。2020年8月版とされており、それ以降のマイクロソフトおよびSIE・任天堂のリリーススケジュールなどを掲載。多くの箇所が黒塗りで消されているが、開発者サポートプログラムID@Xboxを通じて新たに契約したというタイトルに興味深い記述がある。挙げられているのは『S.T.A.L.K.E.R. 2』『TETRIS EFFECT: CONNECTED』『The Gunk』の3タイトルで、いずれもXbox独占タイトルである。ただ資料には、その独占期間が記されていた。
今回特に注目されているのは、GSC Game Worldが開発中の『S.T.A.L.K.E.R. 2』だ。原子力発電所事故が発生したチェルノブイリを舞台とする人気サバイバル・ホラーFPS『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズの最新作であり、ファンからの期待も大きい。現時点では、PCおよびXbox Series X|S向けに同時発売し、Xbox向けサブスクリプションサービスXbox Game Passにも発売日から提供することが発表されている。発売日は未定。
本作のコンソール版は、Xbox Series X|S独占とされている。GSC Game Worldは今年4月に、「(PS5版などは)今のところ計画していない」「Xbox Series X|S版に集中している」とコメント。また、マイクロソフトと交渉する中では、Xbox Game Passでの提供を含め、『S.T.A.L.K.E.R.』ブランドにとっていくつかの良い機会を得ることになったとしている(GamingBolt)。
ただ今回公開されたマイクロソフトの資料によると、『S.T.A.L.K.E.R. 2』のコンソール版の独占期間は3か月だという。発売時期は2021年第4四半期とされている。これをもって、発売からちょうど3か月経った時点でPS5版がリリースされるとはいえないものの、開発元の意向次第でそうしたことが可能になる時期を示している。発売時期については、2020年8月の資料ということを考えると、現在までに変更されている可能性もあるだろう。
資料ではこのほか、『TETRIS EFFECT: CONNECTED』のマルチプレイ要素にあたるCONNECTEDアップデートは6か月の時限独占、『The Gunk』は完全な独占タイトルであると記載されている。なお本件については、現時点でマイクロソフトも各メーカーもコメントしていない。
ちなみにEpic GamesとAppleの裁判では、マイクロソフトからはMicrosoft Storeに関する今年1月作成の資料も提出されている。この中では先日発表された、PCゲーム販売におけるメーカーとの収益分配率を70:30から88:12に変更する計画が記されており、予定どおり行動に移したことがうかがえる(関連記事)。そして同項目では、Xbox向けゲームの販売に関しても、2021年前半には同じ比率に変更する計画であると記載されている。
ただ、マイクロソフトは海外メディアThe Vergeに対し、コンソールにおける収益分配率を変更することはないとの声明を発表。コンソールについては、計画を取りやめたようだ。市場調査会社Niko PartnersのシニアアナリストDaniel Ahmad氏は、PCとは異なりコンソールにおいては、ストア手数料を引き下げても各メーカーのリリース先にはさほど影響せず、マイクロソフトはただ利益を失うだけだと指摘している。いずれにせよ、同社がコンソールでの収益分配率について模索していたことは事実のようで、興味深い資料となった。