カプコンは4月22日、『大逆転裁判1&2 - 成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟』を発表。Nintendo Switch/PS4/PC(Steam)向けに7月29日に発売すると告知した。ニンテンドー3DSおよびiOSで発売された、『逆転裁判』シリーズの人気スピンオフ作。現世代向けにリファインされるということで喜んでいるファンも多いかと思われるが、英語圏の熱はさらに高い。なにせよ、『大逆転裁判』が海外でリリースされるのは、今回が初めてである。英語版のリリースに際して、ある点が注目されている。それは「キャスティング」である。
『大逆転裁判』シリーズでは、日本と英国を舞台に物語が展開される。キャラとしては『逆転裁判』シリーズの主人公である成歩堂龍一のご先祖様である成歩堂龍ノ介、助士として龍之介を助ける御琴羽寿沙都といった日本人だけでなく、シャーロック・ホームズやアイリス・ワトソンといった英国・倫敦在住のキャラも登場する。『大逆転裁判』シリーズではキャラごとにボイスが収録されており、要所で彼らが声を発する。日本語版では下野紘氏や花澤香菜氏といった人気声優が当てられているが、英語版もなかなか凝っている。
龍ノ介の英語版キャストは、Mark Ota氏。ドイツと日本にルーツがあるそうで、慶応大学に在学し、その後ロンドンにて声優やモーションキャプチャーのパフォーマーとして活動している(LinkedIn)。日本語と英語とドイツ語、そしてオランダ語を流暢に話すという。日本と英国をよく知る人物だと言える。寿沙都を演じるのは、Rina Takasaki 氏。ロンドン在住の日本人俳優だ 。日本で生まれ、東京にて劇団ひまわりに所属し演技を学んだ後、英国に拠点を移して活動中。日本語と英語をネイティブレベルに話すといい、本作の配役としてもぴったりだろう。
ホームズについては、Bradley Clarkson氏が演じる。やはり英国ロンドンを拠点とする俳優。アイリスについても英国を拠点とするClaire Morgan氏が声を演じている。亜双義については、日本とのつながりは不明なもののやはり英国のロンドンを拠点とする、俳優Ben Deery氏が声を演じている。日本と英国に縁ある声優陣が揃えられているわけだ。
英語については、アメリカ英語とイギリス英語では英語の発音や性質が大きく違い、さらに英国内の地域や社会階層によってもアクセントが違う。英国ロンドンを意識した、ゲーム内の設定に寄せたキャスティングは、カプコンとしての気合いの入れ具合が垣間見える。このキャスティングは海外ユーザーにとっても、好印象であるようで、SNS上でも好意的な反応が散見される。
ちなみに、今作では成歩堂龍ノ介は、“そのまま”Ryunosuke Naruhodoとなっている。これまでのシリーズでは、成歩堂龍一は英語版ではPhoenix Wrightとして登場していた。今作では、Wright ではなくNaruhodoとして活躍するわけだ。現時点ではNaruhodoとして登場させる意図は不明であるが、この名前も海外ユーザーにとっては大きな変更点になるだろう。カプコンによる海外発表ツイートはすで2.5万RT以上されており、大きな反響を呼んでいる。その期待の高さに応えるローカライズになっていることに期待したい。なぜか『Among Us』公式Twitterアカウントも同発表には反応している。
なお、『大逆転裁判』シリーズはそれぞれ『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-』と『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-』として発売された。『逆転裁判』シリーズの生みの親である巧舟氏が、コラボタイトルを除くと『逆転裁判4』以来久々にシナリオ執筆を担当。2015年7月に発売された一作目『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-』は、『逆転裁判』らしい小気味のいいテキストやキュートなキャラクターが好評を博したが、物語は“未完”であるとして批判を受けることとなった。しかし2年後である2017年8月に発売された『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-』では、前作の伏線なども見事に回収し完結。第一作目は発売から2年の時を経て、続編とあわせて傑作と評されるようになった。
セットで発売される『大逆転裁判1&2』はもちろん完結しているので、『大逆転裁判』としての魅力を余すことなく楽しめる。DLCとして配信された小エピソードもまるっと収録されており、ボリュームもたっぷり。イーカプコンにて購入すれば、キャラクターデザインを担当した塗和也氏が新たに描き下ろしたミニ色紙なども手に入る。そうした限定商品もチェックしておくといいだろう。
『大逆転裁判1&2 - 成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟』は7月29日にNintendo Switch/PS4/PC(Steam)向けに発売予定。巧舟氏も2019年3月ぶりにTwitter上で姿を見せているので、同氏のアカウントをフォローしてみよう。