『Apex Legends』L-スターを拾っても使えない問題。開発者が語る、「マガジンがない武器」の難しさとは

 

Apex Legends』の武器、L-スターにおける弾薬の仕様について、議論が盛り上がっている。開発者も反応を寄せているようだ。L-スターといえば、エネルギーアモを使用するLMGのひとつ。その仕様は少々特殊で、最大の特徴は「マガジンが存在しない」ことだ。インベントリの中のアモを直接使用するため、途中でリロードすることなく無限に撃ちつづけることができる。オーバーヒートに注意さえすれば、所持弾薬が尽きるまで隙なく弾をばらまくことができるという一風変わった武器なのだ。

しかしこの仕様について、問題がひとつある。それは「L-スターを拾ったとき、手持ちによってはすぐに使えないことがある」ということだ。ほとんどの武器はピックアップしたとき、マガジンの中に初期弾薬が装填されている。そのためインベントリに対応するアモがなくとも、最低限の弾数は撃つことが可能だ。しかしL-スターにはマガジンが存在しない。よってL-スターを拾っても、すでにインベントリにエネルギーアモがない限り即時使用ができないのだ。そのため海外掲示板Redditには、「L-スターにも初期弾薬を装填しておくべきではないか」と問題提起するスレッドが立ち注目を集めている。
 

 
ここに反応を返したのが、『Apex Legends』にて武器周りの調整を担当するDavid Bocek氏だ。同氏はまず、L-スターとほかの武器の技術的な違いについて述べている。というのもLスターは「マガジン装填数=0」に設定されているため、弾薬数の値をインベントリから直接取得している。したがってL-スターを拾ったときに初期弾薬を与えるとすれば、インベントリにアモがスポーンする仕様にしなくてはならない。だがその場合、プレイヤーはL-スターを拾ったり落としたりを繰り返すことで、無限にエネルギーアモを生成することが可能となってしまう。

では、「そのL-スターが最初に拾われたときだけ」アモが生成されるのはどうだろう。この場合、地面に落ちているL-スターがすでに拾われたものかどうかプレイヤーにはわからないのが問題となる。同武器を拾っても、アモが手に入らない場合はフラストレーションになるだろう。では「プレイヤーが初めてL-スターを拾ったときだけ」弾薬を生成するのはどうか。この場合、別の問題が生じる。たとえばプレイヤーがボルトなどほかのエネルギー武器を携行しているときにL-スターを発見したとしよう。このとき、L-スターに持ち替える気がなくとも、一瞬だけL-スターを拾ってまたボルトに持ち直せば、余分なエネルギーアモを獲得することができるわけだ。

それが可能である限り、やっておかないと「何か損」と感じてしまうのが人間である。そしてL-スターを見かけるたびに「一瞬持ち替えないと」と思わせてしまうのは、結果的にプレイヤーに余計な強迫観念を植えつけてしまうこととなる。これはこれで美しくない解決といわざるを得ない。では、「プレイヤーごとに1回だけ弾薬を与え、かつエネルギー武器または別のエネルギーアモをまだ持っていない場合にのみ弾薬を生成する場合は……」というところまで検討すると、ここでデザイナーとしてはストップがかかる。あまりにも「〜な場合のみ」という条件づけをしすぎると、プレイヤーが遊んで一見しただけでは理解できないルールになってしまう。ゲームに適用する仕組みとしては、よりシンプルなものが求められるのだ。
 

 
しかしBocek氏は手詰まりというわけではなく、チームで現在模索している方向性があると語っている。それは技術的に多少の困難をともない、バグを抱えるおそれもあるが、試してみる価値はあるものだという。具体的な方法は明確に語られないものの、いくつかのヒントが提示された。というのも、実は『Apex Legends』ではある目的のために、アモの種類ごとに異なるコードが設定されているのだという。

Bocek氏らが現在着目しているアイデアは、これらの異なるコードのうちいくつかをピックアップし、ハイブリッドするようなものだそうだ。別のコードを横断して使用するため、技術的に不具合が生じる可能性はあるものの、今のところはこの方針に可能性を見て開発を進めているようだ。実装にあたっては、「地上の弾薬」「インベントリの弾薬」「マガジン内の弾薬」など異なる値を複数取り扱う必要があるため、時間を要するとのこと。シーズン9には間に合わない見通しではあるものの、チームが解決に取り組んでいることは確かなようだ。

スレッドではさまざまなユーザーから「こうしたらどうか」という提案が寄せられているが、おおむねBocek氏に論破されているかたちだ。Bocek氏は、「物事は表面的に見えているよりもずっと複雑で解決が難しい」と語る。同時にこうした難しい問題が、デザイナーとしての意欲を刺激するものでもあるようだ。特殊すぎるエネルギー武器が恩恵を受けることはあるのか、注目が集まるところである。