Amazonによる「ロード・オブ・ザ・リング」MMORPG開発中止。広報が認める

Amazon Game Studiosによる「ロード・オブ・ザ・リング」のMMORPGについて、開発が中止になっていたことが明らかになった。Amazonの広報担当者も認めている。

Amazon Game Studiosによる「ロード・オブ・ザ・リング」のMMORPGについて、開発が中止になっていたことが明らかになった。BloombergのJason Schreier氏が報じており、Amazonの広報担当者も同報道について認めている。


開発中止となった「ロード・オブ・ザ・リング」MMORPGは、もともとは2018年9月にAthlon Gamesが発表していた作品だった。中つ国を舞台とする広大なスケールの作品として、PCとコンソール向けに制作すると発表 。さらに2019年7月にAmazon Game Studiosとの共同開発作品になることが発表された 。基本プレイ無料タイトルになることや、「ロード・オブ・ザ・リング」の映画三部作に準じたものではなくJ・R・R・トールキンによる小説に基づいた内容になるとも述べられていた。

しかし共同開発発表から2年経たずして、制作中止が発表された。開発中止の原因のひとつと報道されているのが、Athlon Gamesの親会社である香港のゲーム会社Leyou Technologies(以下、Leyou)の存在だ。Amazon Game Studiosは、本作の開発にあたりAthlon GamesだけでなくLeyouとも協働していくことを強調していた。しかしながら、Leyouは昨年12月に中国企業テンセントに買収された(関連記事)。Amazonとテンセントは、ともに業界の巨人。AmazonはLeyouとの協働をめぐって、親会社のテンセントと条件面で合意できなかったという。

Amazon広報担当者は、テンセントと条件面で折り合えなかったことを認めており、「ロード・オブ・ザ・リング」MMORPGに携わっていたチームは、ほかのプロジェクトに移るとも公表している。共同制作発表時に、Leyouは中国でのパブリッシングを担当し、Amazon Game Studiosはそれ以外の国でのパブリッシングを担当するとも明かされていた。いずれにせよ、ゲームスタジオ買収による関係性変化の影響が、如実に現れた例であると言えそうだ。


Amazon Game Studiosは、現在MMORPG『New World』を開発中。同作は8月31日にリリース予定だ。さらにカナダのモントリオールにスタジオを新設し、過去に『レインボーシックス シージ』の開発・運営に携わったスタッフらによって構成されたチームで、新たなマルチプレイゲームを開発している。『Breakaway』と『Crucible』が開発中止になるなど、さまざまな失敗を経験しながらもゲーム開発に取り組み続けるAmazon。同社からヒット作が生まれる日はくるのだろうか。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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