スクウェア・エニックス・ホールディングスは4月16日、プレスリリースを発行。一部メディアが「複数の買い手が同社に対して関心を示している」と報じていることを受けて、会社および事業の売却は検討していないと回答した。
発端となったのは、経済誌Bloombergの報道だ。M&A系のメディアCTFNの記事を引用するかたちで、スクウェア・エニックスに対し複数の買い手候補が関心を示していると報じた。CTFNは事情に詳しい銀行関係者2人を取材し引用しているとし 、その内容をBloombergが伝えたわけだ。
スクウェア・エニックスといえば、名実ともに日本を代表する大企業。マーケティング会社Newzooによる収益ベースのゲームパブリッシャーランキング(2020年第3四半期時点)では13位に位置しており、国内外で大きな存在感を誇る。ビデオゲーム分野が特に強く、スクウェア・エニックス・ホールディングスとしては、2020年3月期 第3四半期決算では410億2200万円の営業利益を叩き出し、前年同期比で大幅な増収を記録している。
こうした好調を受けてなのか定かではないが、買収報道が出ていたわけだ。どの企業に買われるか、スクウェア・エニックスが今後どうなるか、どの部門が買い付けられるかなど、ユーザーたちは想像を膨らましており、Twitterでも「スクエニ買収」がトレンド入り。本日のホットニュースとなっていた。スクウェア・エニックス取締役執行役員である齊藤陽介氏も「トレンドに気になるワードがちらちら見え隠れしているけど、大人だから触れないでおきます」と同氏らしいユーモアに溢れたコメントをしつつ、困惑を見せていた。
しかしスクウェア・エニックス・ホールディングスは、この報道について言及。同社が発表したわけでもなく、同社および一部事業の売却を検討している事実はないとして、そのような提案を受けたこともないとコメントしている。もともとの報道はBloombergが他メディアを引用したものであった。とはいえ経済界で影響力を誇るメディアが報道し、Twitterトレンド入りをするなど、日本で大きな話題になっていただけに、言及する決断に至ったのだろう。
ただし、CTFNおよびBloombergが報じているのは「複数の買い手候補が関心を示している」ということ。スクウェア・エニックス・ホールディングスが「自社の売却を検討している」「事業を売却しようとしている」といった報道をしたわけではない。両メディアの発表によって、ヒートアップする、ユーザーたちの想像などに釘を差したものであると考えられそうだ。また、スクウェア・エニックス・ホールディングスに現時点で接触していないだけで、複数の買い手候補が同社の買収を検討している可能性はゼロではないかもしれない。
とはいえ、すべてはあくまで噂レベルのものにすぎない。スクウェア・エニックス・ホールディングスのコメントの全文は、こちら(リンク先はPDF)から確認可能だ。