『シム』シリーズ生みの親Will Wright氏、『The Sims』Modコミュニティに降臨。新作テスターとなるコンテンツクリエイターを募る
『シムシティ』などの生みの親として知られるWill Wright氏が、久々にその姿を現したようだ。同氏は2008年の『Spore』発売以来、ほとんどメディアにて口を開いてこなかった。そんな創造主が降臨したのは意外な場所。『The Sims』シリーズのModコミュニティであった。
Wright氏からのメッセージが発信された場所は2か所。Mod配信プラットフォームNexus Modsにおける『The Sims 4』ページおよび、『The Sims』シリーズのModフォーラム「Mod The Sims」である。文書では、Wright氏のチームが新規プロジェクトを生み出すにあたり協力してくれるコンテンツクリエイターを探していることが伝えられている。応募したクリエイターはローンチ前のコミュニティに招待され、新作のコンテンツに触れつつ開発チームとコンタクトをとることができるという。
テスター応募にあたっては、いくつかのアンケートに回答する必要がある。「ゲーム内で3Dコンテンツまたはオーディオコンテンツを作成するにあたり、使ったことのあるツールはどれか?」との設問では、UnityやMaya、Blenderといった本格的なツールから『The Sims』『Second Life』といったクリエイション要素を含むゲームまでラインナップされている。プロレベルからカジュアルに制作を楽しむ層まで、幅広くクリエイターを募っているようだ。このほかにも「過去6か月間で、どのようなプラットフォームで制作物をシェアしたか(YouTube、Discordなど)?」「作品を共有する上でもっとも喜びを感じることは何か?」といった設問が登場。ゲームの好みに関してというよりは、作品制作にまつわる問いで占められていることが印象深い。
これらの質問の背景には、Wright氏が開発している最新作のコンセプトがありそうだ。同氏が現在制作していると発表されている作品『Proxi』は、自己発見にまつわるゲームであると伝えられている。無意識や内なるアイデンティティなどを表出させ、隠された自己にインタラクトしたり、一緒に遊んだりすることを通じて、自分自身について学ぶことができるとされている。
やや具体像を想像しにくい内容ではあるが、『Proxi』の機能のひとつとして明らかにされているのが「Gallium Creator Tools」だ。本ツールでは、プレイヤーがアセットをゲームに統合することで、『Proxi』で独自の体験を創りだすことができるという。ゲーム内にオリジナルの要素を追加できるような、何らかのクリエイション機能が搭載されるということだろう。また先述のアンケート内容から推測するなら、『Proxi』内で制作した創作物をオンラインで共有できるようなプラットフォームがもたらされる可能性も高そうだ。
Wright氏は各フォーラムでの書き込みで、「不死身になりたいと願ったことはありますか?」とユーザーに問いかけている。新たなプロジェクトは「プレイヤーの記憶がゲーム内の風景となる」と表現されており、遊び手の内省が深く関係するゲームになることは間違いなさそうだ。フォーラムのレスにはすでにメールを受け取り、Zoomでのインタビューがセッティングされたとの声もある。今後『Proxi』についてどのような情報が明らかにされるか、楽しみにしておこう。テスター応募に興味がある人はこちらから確認されたし(英語)。