Nintendo Switch向けに移植された『スーパーマリオサンシャイン』は、独自ディープラーニング技術によって高解像度化されていた

Nintendo Switch向けに移植された『スーパーマリオ 3Dコレクション』について、カットシーン(in-game videos)の高解像度化にあたっては、同社独自のディープラーニングエンジンを活用したことが明かされている。

任天堂がNintendo Switch向けに昨年9月に発売した『スーパーマリオ 3Dコレクション』について、フランスに所在する子会社Nintendo European Research & Development(NERD)が、その開発に貢献していたことを明らかにしている。


『スーパーマリオ 3Dコレクション』は、NINTENDO 64向けに1996年に発売された『スーパーマリオ64』、ニンテンドー ゲームキューブにて2002年に発売された『スーパーマリオサンシャイン』、そしてWii向けに2007年に発売された『スーパーマリオギャラクシー』の3作品をセットにして、Nintendo Switchに移植した作品だ。オリジナル版からは、解像度の向上や16:9画面への対応、またJoy-Con操作への最適化などがおこなわれている。

NERDは、ビデオコーデックを手がけるMobiclipを前身とし、2011年に任天堂に買収された。主に技術開発・サポートを担当しており、これまでにはミニ スーパーファミコン向けにスーパーFXチップを含むスーパーファミコンのエミュレーターや、『リングフィット アドベンチャー』で使用されている脈拍測定機能などを開発。そして『スーパーマリオ 3Dコレクション』においては、主に『スーパーマリオサンシャイン』の移植に携わったとのこと。


『スーパーマリオサンシャイン』をNintendo Switch向けに移植するにあたって、もっとも大きなチャレンジとなったのは、ゲームキューブのエミュレーター開発だったそうだ。ゲームキューブのMPU(Micro Processor Unit)は今となっては古いものではあるが非常にパワフルな性能を持っており、これをNintendo Switchのカスタムプロセッサ上で再現し、さらに同作をオリジナル版と同じスピードで動作させるには、いくつかのトリックを用いて最適化させる必要があったという。

先述した高解像度化や16:9対応、Joy-ConのサポートなどもNERDによるもの。さらに、カットシーン(in-game videos)の高解像度化にあたっては、同社独自のディープラーニングエンジンを活用したことが明かされている。

*『スーパーマリオサンシャイン』のカットシーンの比較映像


NERDの独自エンジンの仕組みなど詳細については語られなかったが、近年はディープラーニング技術をゲームに活かす動きが見られる。たとえばPCゲームのMod界隈では、ディープラーニング技術を使ってアセットを高解像度化する手法が利用され始めており、NVIDIAも同様の技術を研究していることで知られる。『スーパーマリオサンシャイン』においては、おそらく映像素材しか残っておらずレンダリングし直すことができなかったため、ディープラーニング技術によって高解像度化をおこなったのだろう。

NERDは『スーパーマリオサンシャイン』以外にも、『スーパーマリオギャラクシー』の移植にも貢献したという。ゲームキューブとWiiのハードウェアのアーキテクチャが似ていたこともあり、グラフィックおよびオーディオのエミュレーション技術を提供したそうだ。


なお、『スーパーマリオ 3Dコレクション』はスーパーマリオブラザーズ35周年を記念した期間限定商品である。ダウンロード版は今年3月31日を持って配信終了し、パッケージ版も3月末で生産を終える予定だ。ほかにも『SUPER MARIO BROS. 35』や「ゲーム&ウオッチ スーパーマリオブラザーズ」も、同様にまもなく販売・生産終了を迎えるため、興味のある方は今のうちに入手しておこう。

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

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