ファンプロジェクト『Azel Resurrection Project』始動。セガの『AZEL -パンツァードラグーンRPG-』を現代に蘇らせると意気込むが、権利関係に不安あり
『パンツァードラグーン』シリーズの海外ファンサイトPanzer Dragoon Worldは3月18日、『Azel Resurrection Project』の開発を発表した。本作は、セガが1998年にセガサターン向けに発売した『AZEL -パンツァードラグーンRPG-』を、現代に蘇らせることを目指すプロジェクトだという。
『AZEL -パンツァードラグーンRPG-』は、『パンツァードラグーン』シリーズの第3作目として、1998年にセガサターン向けに発売されたRPGだ。主人公のエッジは、クーデターにより帝国軍が管理する遺跡から持ち出された人型攻性生物アゼルを巡り、攻性生物のドラゴンと共に冒険をおこなう。シリーズの前2作がシューティングゲームであったのに対し、同作は世界観を同じくするRPGとして制作された異色作ではあるが、ファンからの根強い人気がある作品として知られる。
今回発表された『Azel Resurrection Project』を主導するPanzer Dragoon Worldには、署名サイトChange.orgを通じて『AZEL -パンツァードラグーンRPG-』のリブートをセガに請願していた経緯があるが、自ら制作する方向に舵を切ったようだ。本作では、Unreal Engine 4(のちにUE5に移行予定)を用いて、オリジナル版のアートディレクションやコアゲームプレイ、革新性を現代に蘇らせるとのこと。基本的にはオリジナルに忠実に再構築するが、開発チームはさらなる価値をもたらすアイデアも用意しているという。
公開されたトレイラーでは、ゲームプレイなどは含まれていないものの、最新のビジュアルで生まれ変わったドラゴンなどの攻性生物の姿が披露されている。開発は、Gameloftにてリードキャラクターアーティストを務めるPamonh Sisouk氏が中心となり進行。また、オリジナル版に参加した小林早織氏が楽曲提供する予定であることも記載されている。
一方で、『Azel Resurrection Project』の制作にあたっては、セガから『AZEL -パンツァードラグーンRPG-』のライセンス提供は受けていないという。同作の再構築を公言し、攻性生物を現代の技術で再現してはいるが、あくまでファンプロジェクトというわけだ。もっとも、目指すところは正式な『パンツァードラグーン』タイトルとしてリリースすることであるとし、いずれセガと協議する考えを示している。それが叶わなかった場合は、アセットを調整して独自IPとして仕切り直す予定とのこと。
『パンツァードラグーン』シリーズというと、Forever Entertainmentが手がけた『パンツァードラグーン:リメイク』が昨年リリースされており、今年には続編『パンツァードラグーン ツヴァイ』のリメイク版もリリース予定。また、株式会社ワイルドマンによるVRタイトル『パンツァードラグーンVoyage Record』も開発中で、同作には『AZEL -パンツァードラグーンRPG-』を含むシリーズ初期3作のエピソードが含まれる予定だ。こうした状況から、セガはライセンス提供に関して比較的寛容であるように見え、『Azel Resurrection Project』にもチャンスはあるかもしれない。
『Azel Resurrection Project』では、クラウドファンディングプラットフォームPatreonにて寄付金を募っている。これを通じて、まずはファンと共に本作のビジョンを形にすることを目指しており、次の段階にてKickstarterなどでの資金集めに挑戦する可能性があるとのこと。また、寄付金によってライセンス費用を賄うことも考えているそうだ。興味のある方はPatreonページにて詳細を確認してほしい。