SIEが、『アサクリ』生みの親の一人Jade Raymond氏の新スタジオに出資。プロジェクト頓挫続くクリエイターの再起を支援
ゲームクリエイターJade Raymond氏は3月16日、ゲームスタジオHaven Entertainment Studios Inc.を設立したと発表した。人気タイトルやフランチャイズにて10年以上の制作経験を持つ人材を中心に据え、世界に通用するチームを結成していくとのこと。あわせて、ソニー・インタラクティブエンタテインメントは、Haven Entertainment Studios Inc.と、同スタジオが手がけるPlayStation向け新規IPに出資することを表明した。
Jade Raymond氏は、さまざまな作品を手がけてきたクリエイターだ。Sony Online Entertainmentでプログラマーとしてゲーム業界に身を投じ、Electronic Arts(以下、EA)にて『The Sims Online』のプロデュースを担当。その後数社を経てUbisoftの一員に。初代『アサシン クリード』のプロデューサーを務め、『アサシン クリード II』『ウォッチドッグス』『スプリンターセル ブラックリスト』など人気作のエグゼクティブ・プロデューサーを担当。2009年に設立されたUbisoft Torontoのトップを務めていた。
2014年10月には10年間在籍したUbisoftを退社。2015年7月には再びEAに入社し、Motive Studiosの設立者としてスタジオを率いてきた。『Star Wars バトルフロント II』のシングルプレイキャンペーンや、未発表の新規IPアクションゲームに着手。かつてVisceral Gamesが手がけていた「Star Wars」プロジェクト(プロジェクトRagtag)では、ゲームデザイナーおよびライターとして参加していた。しかし同プロジェクトは仕切り直しになり、2018年10年にはEAを退社することとなった。
その後にはGoogleへと入社。同社の内部ゲームスタジオであるStadia Games and Entertainmentを率いていた。しかし同スタジオは今年2月に閉鎖。Raymond氏もそのタイミングにてGoogleを離れていた。技術畑出身で実績は十分。しかし携わるプロジェクトがなかなか日の目を見ない。そんな彼女のプロジェクトを、SIEが支援することになったようだ。
Raymond氏は新スタジオ設立に際して「自分が愛してやまないゲーム制作をまたやろう、チームのみんなが自由に思考錯誤し、ひらめき、創造力を羽ばたかせられるように。それが私の出した結論です」とコメント。「何に縛られることもなく、自分たちの技術を磨くことのできるこの場所で、再びゲーム作りに集中したいと思います。プレイヤーの皆さんの安息地となり、楽しめる、自己表現のできる、そして自分の居場所を見つけられる、そんな世界を作りたいと思っています」とも語っている。すでに同氏とともに働いてきた才能ある開発者が集まっているとのこと。
あわせて、「プレイヤーの皆さんにとっても、ゲーム開発者にとっても「Haven(安息地)」となれるようなゲームを、そしてスタジオを作っていきたい」とコメントしている。同氏が今後手がける作品のヒントになるかもしれない。ゲーム開発者として新たな挑戦にいどむRaymond氏を、SIEが応援するということだろう。Haven Entertainment Studios Inc.の新作の正式発表を、楽しみにしておこう。