台湾のゲームスタジオRed Candle Gamesが自社ストアをオープン。売る場所を失った『還願』を自ら販売へ
台湾のゲームスタジオRed Candle Gamesは3月15日、Red Candle E-Shopなるストアをオープン。『返校 Detention』や『還願 Devotion』といったタイトルの自社販売を開始した。同ストアは日本語に対応している。
Red Candle Gamesは、台湾に拠点を置くインディースタジオ。これまで台湾文化を織り交ぜたホラーゲームを生み出しており、『返校 Detention』や『還願 Devotion』をヒットさせた。2017年1月に発売された前者は学校という場所を中心に台湾の暗い歴史を描いた。2019年1月に発売された後者は家庭をテーマとし、1980年代の哀しい台湾家族を表現。宗教や文化を絡ませながら、陰鬱な物語を描ききった作品である。
『還願 Devotion』は、発売直後は世界的に高く評価されていたが、「習近平くまのプーさん」と書かれているポスターが発見されたことにより状況は一変。具体的には、ゲーム内に飾られている符呪と呼ばれる張り紙に、「習近平くまのプーさん」と記されていることが確認され、さらに符呪の周りにある四文字が語呂合わせで「お前の母ちゃんはアホ」と読み取れるものになっていた。こうした描写については、台湾のスタジオが中国を揶揄したとして、中国本土のネットユーザーは激怒(詳細記事)。開発元はすぐさま該当箇所を修正したものの、Steamストアなどは荒れに荒れ、結果的に同作の販売は自主的に取り下げられることとなった。
Red Candle Gamesは、こうした騒動を受けて『還願 Devotion』再販について慎重な姿勢を見せており、台湾国内にてパッケージ版を限定発売するに留まっていた。しかし2020年12月にGOG.comにてDRMフリー版をリリースすると告知。ついに再販に至ったかと思われた。しかしGOG.com公式Twitterアカウントは、すぐさま同作の取り扱いをとりやめると発表。「たくさんのゲーマーからのメッセージを受け取った結果、ゲームをストアから取り下げる」とした。SteamとGOG.comにて販売トラブルに巻き込まれたことから、大手PCゲームストアでのリリースは困難と見られていた。
そういった状況を踏まえ、Red Candle Gamesは自社PCゲームストアを立ち上げたと考えられる。同ストアではゲーム(DRMフリー版)とサウンドトラック、そしてそれらがセットになったバンドルが販売されている。日本からも購入可能で、両作ともに日本語に対応済み。特に長年販売が停止されていた『還願 Devotion』を入手する貴重な機会になっているだろう。
Red Candle Gamesの今後の作品もまた、DRMフリーとして同ストアで販売されるそうだ。ファンは同スタジオのゲームを入手することができ、スタジオとしてはプラットフォーム税をとられず、しがらみに巻き込まれることなく、ファンにゲームを届けられる。両者にとって嬉しい場所になりそうだ。興味を持っていた方は、ぜひRed Candle E-Shopをチェックしてみてほしい。