『P.T.』オマージュな一人称視点ホラー『Evil Inside』3月25日リリースへ。無限回廊をさまよい、家族の幻影におののく
インディースタジオのJanduSoftは3月5日、一人称視点ホラー『Evil Inside』を3月25日にリリースすると発表した。対応プラットフォームはPC(Steam)および海外PlayStation 5/PlayStation 4。
『Evil Inside』はある邸宅の中を探索するサイコロジカル・ホラーだ。主人公は10代の少年Mark。母親Roseは彼と弟を遺して遺体で見つかり、父親は容疑者として獄中へ囚われることになる。一体、善良な人間だった父はなぜ母を手にかけたのか。喪失の悲しみと尽きない疑問に突き動かされ、Markはウィジャ盤による交信儀式を通じて亡き母とのコンタクトを試みる。しかし突如としてウィジャ盤は弾け飛び、Markは気を失ってしまう。気がつくと彼は、数々の怪現象が起こる奇妙な家の中に取り残されていた。本作の目的は、砕けちってしまったスピリチュアル・ボードを集め、Roseと交信することだ。邸宅内で迫りくるさまざまな恐怖に打ち勝ち、真実を解き明かそう。
本作が目を惹くのは、開発中止となった『Silent Hills』のプレイアブルティザー『P.T.』を色濃くオマージュしたプロローグの構成だろう。何度も同じ回廊をループしながら怪奇現象に襲われる構成はまさしく『P.T.』だ。ただし、『Evil Inside』は本家よりも直接的なジャンプスケアに重きを置いた演出が多いことには注意されたい。裏を返せば、じわじわ迫りくる静的な恐怖と、いつ何が現れるかわからない動的なスリルと、双方を味わえる作品という見方もできるかもしれない。
本作の核となる演出は、本来は親しみ深い存在であるはずの「家族」がみな“得体の知れない他者”として現れてくる違和感だ。庇護者であるはずの母親は死者に、父親は動機不明の罪人に。主人公が守るべき幼い弟ですら、「泣き叫ぶ赤ん坊」という薄気味悪い重荷としてプレイヤーの前に立ちはだかる。家族ですら恐怖の対象となる孤独な心理的恐怖の世界で、真相を探求する葛藤が描かれるようだ。
開発を手がけるJanduSoftはバルセロナに拠点をおくスタジオだ。インディーゲームの開発とパブリッシングを手がけており、自社開発作品としてはさまざまなインディーゲームのパロディーを詰め込んだ『Indiecalypse』をリリースした。ただしこちらはボリューム不足や操作の説明不足などが仇となり、「ほぼ不評」との評価を下されているようだ。いずれにしても、本格サイコロジカル・ホラーとなる『Evil Inside』はスタジオ初の試み。あえて名作『P.T.』を強くオマージュした作風が吉と出るか凶と出るか、その出来栄えに注目したいところだ。
『Evil Inside』は3月25日、PC(Steam)および海外PlayStation 5/PlayStation 4向けに配信予定。現在、プロローグを遊べる無料デモ版をSteamにて配信中だ。