SIE JAPAN Studio組織再編を認める。著名クリエイター退職や新卒採用の縮小など、スタジオに波乱続く

ソニー・インタラクティブエンタテインメントは2月26日、SIE JAPAN Studioが組織再編を進めていることを認めた。4月1日付で新組織に再編し、Team ASOBIを中心として再統合するという。

ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)は2月26日、SIE JAPAN Studioが組織再編を進めていることを認めた。海外メディアIGNに声明を出している。発表によると、4月1日付でSIE JAPAN Studioは新組織に再編。クリエイティブチームTeam ASOBIを中心として再統合するという。Team ASOBIはPlayStation 5のプリロードタイトル『アストロプレイルーム』を開発したチーム。今後、JAPAN Studioタイトルの外部制作、ソフトウェアのローカライズおよびIPマネジメントなどの役割は、PlayStation Studiosのグローバル機能が担うという。 

SIE JAPAN Studioについては、著名クリエイターが続々とスタジオを去る動きが報じられていた(関連記事)。昨年9月末には、『SIREN』『GRAVITY DAZE』シリーズを手がけた外山圭一郎氏が退社。同作リードゲームデザイナーの大倉純也氏、『SIREN』デザイナーや『人喰いの大鷲トリコ』プロデューサーを務めた佐藤一信氏も同時期にスタジオを離れ、三者で新スタジオBokeh Game Studioを設立している。また同年12月末には、『Bloodborne』やPS5版『Demon’s Souls』などに携わったプロデューサー鳥山晃之氏がSIE JAPAN Studioを退社している。 

そして今月、立て続けにふたりのクリエイターが退社を発表。2月24日には数多くの映像制作に携わった曽我部亮氏が、2月末をもってスタジオを去ることを発表。続けて2月25日には『TOKYO JUNGLE』『Bloodborne』のプロデューサーを務めた山際眞晃氏が、SIE JAPAN Studioを退くこと発表した。両者とも新天地にて映像・ゲーム制作に携わっていきたい意思を明らかにしているものの、SIE JAPAN Studioにて大きな功績を残したクリエイターが軒並み巣立っていくかたちとなった。 
 

 
IGNは、本件を事実上のSIE JAPAN Studioの規模縮小であるとみなして報じている。というのも今年、同社の新卒採用情報に注目が集まっていたためだ。2022年度の募集要項を見ると、募集があるのはネットワークサービスなどの技術職や事務職のみ。2021年度まで募集があった、ゲームプログラム・ゲームデザイン・ビジュアルアート・サウンドデザインなど制作系の職種については門戸が開かれないことが明らかになった。立て続けのクリエイター離脱や新卒採用に見られる変化から、SIE JAPAN Studioが事業規模を縮小しているのではないかとする見方が強い。 

スタジオを去ったクリエイターのひとり外山氏は自身の退社の理由について、本社が米国に移って以降、組織的に大きな変化が続いたことや、新型コロナウイルスによる混乱などを理由に挙げている。組織の変化とは、本日明らかになったSIE JAPAN Studio自体の組織再編にまつわる動きを指しているのだろう。また新型コロナウイルスによる影響も少なからずスタジオの動向に波及しているのかもしれない。新たな組織体制へと再編し、次なる動きを目指すSIE JAPAN Studio。質の高いローカライズやカルチャライズ、ゲーム開発で知られるだけに、引き続き存在感を見せられるか注目したいところだ。 

Yuki Kurosawa
Yuki Kurosawa

生存力の低いのらくら雰囲気系ゲーマーです。熾烈なスコアアタックや撃ち合いを競う作品でも、そのキャラが今朝なに食ってきたかが気になります。

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