『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』リメイクに期待しすぎて世界がおかしくなる。正常な判断能力を失う

『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』のリメイクに待ち焦がれすぎて、世界中の人々がおかしくなっているようだ。2月27日まで正気を保てるのか。

『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』(以下、ダイヤモンド・パール)のリメイクに待ち焦がれすぎて、世界中の人々がおかしくなっているようだ。発端となったのは、『ポケットモンスター』英語公式Twitterアカウントの投稿である。同アカウントでは2月24日、シンオウ地方の御三家ポケモン3匹が映る動画が公開された。このヒコザル・ナエトル・ポッチャマが映し出された投稿が、全世界で反響を呼んでいる。なぜなのか。どうやら「『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』リメイクの発表が示唆されている」と解釈されているようだ。

『ダイヤモンド・パール』は、『ポケットモンスター』第四世代にあたる作品だ。舞台となるのは、豊かな自然が広がるシンオウ地方。のどかな郊外フタバタウンに住まう主人公は、とあることをきっかけに旅に出ることになる。一部グラフィック表現に3D技術を導入。こうげき技の物理/特殊の性質変更がなされたほか、Wi-Fiコネクションを用いた本格的なオンライン対戦・通信が導入されるなど、シリーズとして飛躍を果たしたゲームである。


国内では『ダイヤモンド・パール』リメイクを熱望する声が多い。というよりも、もはや国内では同作そのものがネットミームと化している。何か任天堂がオンライン番組を予告したり、『ポケットモンスター』シリーズプロデューサーの増田順一氏が意味深なことをつぶやくたびに、「ダイパリメイク」のワードがTwitterにてトレンド入り。先日実施されたNintendo Direct放送後にも、『ポケットモンスター』の発表がなかったにもかかわらず同キーワードはトレンド入りを果たしており、もはや「ダイパリメイク」の文言をSNSに投稿して騒ぐこと、それそのものが目的となりつつある。

https://twitter.com/kH_844/status/1362173433325395970


なぜこれほどダイパリメイクが待ち望まれるのか。それは『ポケットモンスター』シリーズのリメイクサイクルが理由としてあげられるだろう。『ポケットモンスター』シリーズでは新作とリメイクが並行して展開されており、第三世代となる『ルビー・サファイア』まではリメイク済み。順当に考えれば次は『ダイヤモンド・パール』の番だ。また、単純に人気があることにも言及すべきだろう。同作は、ニンテンドーDSの飛躍と共に1800万本弱近くを売り上げた人気作。セールスとしては『ブラック・ホワイト』や『X・Y』を上回っている。多くの人にとって思い出深い作品なのだ。


また2006年発売の作品であることを考えると、同作を遊んだプレイヤーは現在20代中盤~30代前半が多い。Twitterのコア層ともマッチし、声にボリュームが出ている可能性はありそうだ。ダイパリメイクの到来を熱望する人々を指して“ダイパキッズ”なる言葉が存在するが、そもそも『ダイヤモンド・パール』を遊んだことがある人の多くは、すでに成人している可能性が高い。発売当時6歳で同作を遊んだプレイヤーですら、今すでに20歳。“ダイパアダルト”と呼称するほうが適切だ。

国内のSNSユーザーのお家芸となっているダイパリメイク祭りであるが、そのお祭りは海外でも発生している。毎年といっていいほど『ダイヤモンド・パール』のリメイクの噂はあがっているが、特に今年に入ってからそのボルテージは高まるばかり。先月1月にはCentro PokemonなるTwitterアカウントが、“『ダイヤモンド・パール』が今年Nintendo Switchで発売される”と投稿。結果的には2万RT以上を獲得し、英語圏でのトレンド入りを後押しした。さらに今月2月27日はポケットモンスター25周年ということで、何か発表があると見られており、ファンの期待は高まり続けているのだ。


と、ここまで説明すればわかると思うが、冒頭の『ダイヤモンド・パール』に関連したポケモン公式Twitterの投稿は、25周年のカウントダウン企画として投じられただけである。2月21日には『サン・ムーン』の御三家を映す投稿がなされ、2月22日には『X・Y』の御三家が投稿されている。2月27日までの残り日数と共に“その日数の世代にあたる御三家”が映し出されているわけだ。残り4日なので、第四世代のシンオウ地方ポケモンが特集されているといった次第。にもかかわらず、英語圏のTwitterユーザーは『ダイヤモンド・パール』のリメイク発表を期待し叫んでいるのだ。同投稿は、他のカウントダウン投稿と比べても10倍ほどのRTやイイネがつけられている。


普通に考えれば、公式Twitterの投稿には何の示唆もないとわかるはず。もっといえば、自称リーカーによる「今年Nintendo Switchで『ダイヤモンド・パール』が発売される」という、毎年言っとけば当たるような予言には何の信憑性もない。しかし、人々は“ダイパリメイク”を叫ばずにいられない。正常な判断能力を失っているとしか言いようがない。日本だけでなく、世界の人々が“ダイパリメイク”をめぐっておかしくなっているのだ。海外には『ダイヤモンド・パール』製品を並べて、召喚の儀をおこなおうとする人物も確認されており、もはやファンに課せられた呪いである。

Image Credit : Reddit


しかし、このお祭りを楽しむのも悪くないだろう。『ダイヤモンド・パール』リメイクを熱望し、SNSの人々と騒ぐ行為そのものがエンタメになっている可能性はありそうだ。同作のリメイクを待望する一連のお祭りには一体感があり、誰かを傷つけるわけでもない。ただただ、リメイクを期待しているだけなのだ。あまり関係のないイベント時に「ダイパリメイク」がトレンドになる現象に、クスりと笑ってしまったユーザーもいるだろう。一種の風物詩と親しまれている側面が存在するのだ。

実際に『ダイヤモンド・パール』リメイクが発表されるのかどうかは、株式会社ポケモンのみぞ知るところ。本当にリメイクは発表されるのか。もしくは発表されず、このままお祭りが続いたほうがファンにとっては幸せかもしれない。2月27日のシリーズ25周年を楽しみにしておこう。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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