PS5本体の転売業者に、インドのゲーマーコミュニティが対抗。高額転売対策として一定の効果を出した地道な策とは

横行し続けるPlayStation 5本体の転売。インドコミュニティは、結託して転売業者を封じる試みをしており、一定の効果が出ているようだ。

昨年11月の発売以来、日本のみならず世界各国で品薄状態が続いているPlayStation 5本体。欲しくてもなかなか買えない人がいる一方で、転売行為が横行していることへの批判も高まっており、各国どこも状況は同じ模様である。そうしたなか、インドではゲーマーコミュニティが団結して、転売業者と戦っているようだ。

インドでは、PS5は今年2月2日にローンチを迎えた。ほかの多くの国より遅れて発売されたが、やはり品薄状態にあり、そして転売業者が現れている状況は変わらないという。同国においては、通常版が4万9990インドルピー(約7万2500円)、デジタル・エディションは3万9990インドルピー(約5万8000円)が正規価格となっており、日本と比べると2万円ほど高い。大きな需要が発生すると見込んでか、転売業者はPS5の発売前から予約受付を開始。その価格は、日本円にして10万円を超えるものも珍しくなく、現在も近い価格での高額転売がおこなわれている。

海外メディアIGNのインド版によると、インドでのPS5の転売はいわゆるフリマサイトを通じておこなわれているそうだ。そこで同国のゲーマーコミュニティが取った行動はというと、正規価格以上で販売されているPS5本体を見つけては、フリマサイトの運営側に“詐欺出品”であると通報すること。サイトによって対応は異なるようだが、たとえばOLXでは通報があれば即時削除しているそうだ。

コミュニティは、RedditやFacebook、Discordなどでそうした高額転売商品を報告し合い、一致団結して行動するよう呼びかけている。彼らの狙いとしては、正規価格以上で転売できる場所をなくすことにある。転売業者としては、仕入れたPS5本体を売りさばかないと損になってしまうため、正規価格にて手放すか返品するほかなくなり、結果的に一般のゲーマーが適正価格でPS5本体を購入できる機会が増えることに繋がるという考えである。

IGNインド版の取材に答えたコミュニティメンバーのひとりは、(高額転売が横行する)アメリカのような状況になる前に高額転売行為を止める必要があるとし、毎日のように通報をおこなっているという。そして、彼らの活動は一定の成果を見ているようだ。


前出のOLXにてPS5本体の出品を検索してみると、ゲームや周辺機器とセットにしたものを除けば、ほぼすべて5万インドルピー以下にて出品されている。いま日本やアメリカでPS5本体をオークションサイトに出品すれば、正規価格をはるかに超える値がつく状況から考えると、ある意味異様な光景である。少なくともOLXでは、正規価格にて出品しないと通報により削除され、売りさばけないという状況が生まれているのだろう。

結局のところ、このインドの例ではフリマサイト側が通報に対して即座に対応していることで、高額転売を締め出すことに繋がっているといえる。OLXでは、ほかの出品者と同じ写真を掲載している出品がいくつか見受けられ、これが通報理由の詐欺に該当すると判断されたかもしれず、運営側に高額転売を禁じる意図があるのかどうかは不明。ただ、ソニーの現地法人は販売パートナーに対して、倫理観に基づいたビジネスをおこなうよう求めており、これに反する行為にはゼロ・トレランス方式で厳しく対処する方針を示しているという。そうした背景が、サイト運営者の対応を後押ししている可能性はありそうだ。

なお、フリマサイトなどを通じたPS5本体の高額転売は日本でも問題になっており、SIEはメルカリ社に対して転売防止に向けた協力を要請しているとのこと(ITmedia NEWS)。もっとも、現時点でもメルカリにて「PS5」というキーワードで検索をかけると、希望小売価格を大きく超える出品が見受けられる。フリマサイトが問題に取り組まなければ、通報も意味がないということ。基本的に転売行為自体は違法ではなく、また高額であっても欲しいという人もいるであろうため、サイト運営側の対応が対策のカギとなることは、日本もインドも同じのようだ。

【UPDATE 2021/02/24 8:04】記事タイトルを修正

Taijiro Yamanaka
Taijiro Yamanaka

国内外のゲームニュースを好物としています。購入するゲームとプレイできる時間のバランス感覚が悪く、積みゲーを崩しつつさらに積んでいく日々。

記事本文: 6881