Nintendo Switch版の発売を3月10日に控えた『Apex Legends』。2月18日に公開された「Nintendo Direct 2021.2.18」ではNintendo Switch版がジャイロ操作に対応することも明かされ、新たな対戦環境の変化に注目が集まっている。一方ハード面だけでなく、レジェンド性能の調整についても議論は絶え間なく続く。今年に入って以来ホットなのが、コースティックに関する話題だ。1月に確認されたデータでは、直近の勝率が急激に上昇していることが判明。今月頭に海外掲示板Redditで実施された開発者による質疑応答でも話題に上がり、今後の調整方針について明らかに(関連記事)。今後のアップデートで弱体化が図られることが予告された。
今月17日にRedditへ投稿された動画は、そんな博士の状況を端的に表している映像だ。現場は試合後半、リングの範囲がごく狭くなったマップ。投稿者が操るコースティックは安全圏ギリギリの位置から遮蔽物を挟み、アルティメットアビリティのNoxグレネードを投げ入れる。相手チームは極小のエリア内をほとんどガスで埋め尽くされ、なすすべなく敗北。投稿者は銃を撃つことなくチャンピオンの座を手にしている。確かにこの状況は、「アビリティよりもガンプレイ」を理念とする『Apex Legends』には似つかわしくないシチュエーションだ。コメントには、「この場合どう反撃すればいいの?」という疑問の声が噴出している。
この声に反応したのが、Respawn Entertainmentにてレジェンドのバランス調整を担当するDaniel Zenon Klein氏だ。同氏は動画に挙がっているような状況が非常にうんざりするシチュエーションだと認めた。似た問題はすでに開発チームにて認識されているものの、明確な解決策を打ち出せていないのが現状だという。というのも、コースティックを弱体化することは簡単だが、その“代償”をどうすべきかが見出せていないのだという。たとえばガスの範囲を狭めるなど、一方的に博士を不利にすることは簡単だ。しかし現状でコースティック使いとしてゲームを楽しんでいるプレイヤーがいるのも確か。そうした層のプレイフィールを損なわず、かつ全体としてのバランスをとる最善策を模索しているのが実情のようだ。
本件には多数の意見が寄せられた。たとえばあるユーザーは、コースティックのアルティメットアビリティを投擲可能なグレネードではなく、本人の周囲にダメージを発生させるものにしてはどうかと提案。相手としては、コースティックを撃破すればガス発生を止められるという反撃の機会が得られるし、コースティック自身はみずから敵に近づかなくてはならないというリスクを負うことになる。このアイデアはKlein氏に好評だ。実際の処理についてはもっと詰める必要があるとしつつも、前向きに検討したい意欲を見せている。
また、「グレネードを“サッカーボール型”にする」という尖ったアイデアも。転がると威力が弱まり、誰でも近接攻撃で遠くに退けることができるという提案だ。これにもKlein氏は好反応で、単に破壊可能なオブジェクトにするより良いと太鼓判を押した。ただし、コースティックのキャラ的に“オモシロすぎないように”する必要があるとも加えている。
異なるアプローチのアイデアとしては、「リングが建物の近くで閉じないようにする」「最終円そのものが動くようにする」というものも。Klein氏としては、コストパフォーマンスがかかるとして消極的な見方だ。とはいえゲームの開始/終了間際のギミックに何か手を加えることについては、検討の余地があるとしている。また「最終リングですべてのアルティメットアビリティを無効化する」という提案については、多くのレジェンドのプレイフィールを損なうとして消極的だ。
そもそも「リング縮小が遅くなったこと自体が実質コースティック弱体化だ」という意見も存在する。博士の真の威力は、生存範囲が狭くなってから発揮できる。したがって、その域にたどり着くまでが困難になったことで、コースティックの強さは相対的に下がっているとする見方だ。これに対してKlein氏は、あくまでそこでの“バランス”が「マクロな視点」に過ぎないと指摘。序盤で力尽きるコースティックが増えることで全体的な勝率が安定したとしても、最終リングにおけるNoxガスの必殺ぶりを改善しなければ公平感は生まれないだろうと意見を述べている。
Klein氏によればコースティックは、昨年11〜12月に低迷を見せたのち急激な謎の成長を見せたという。ライブサービスは水物であるがゆえ調整は難しいところだが、コミュニティから熱い眼差しを注がれた以上コースティックに手が入るのは間違いないだろう。一方、博士愛好家のプレイ感も損なわないように注意が払われているとのことで、今後の動向が気になるところだ。