北欧神話オープンワールドサバイバル『Valheim』Steamで同接13万の大人気ゲームに。鍵を握るのは「煙で死ぬ」ほどこだわられたリアリティ

オープンワールドサバイバルゲーム『Valheim』の人気が爆発中。『Valheim』にて人気を博しているのは、煙で死ぬといった要素まで導入されているリアリティかもしれない。

Coffestain Publishingは2月3日、Iron Gate Studioが手がけるオープンワールドサバイバルゲーム『Valheim』の早期アクセス配信を開始した。Steamでは同時接続ユーザー数が13万を記録し、人気ゲームとしての地位を確立しつつある。煙の処理などを含めた、リアルな要素が注目を集めている。


『Valheim』はスウェーデンの開発会社Irongate Studioが開発するオープンワールドサバイバルゲーム。プレイヤーはヴァイキングの戦士として、北欧神話の第10世界Valheimへ召喚される。Valheimは神話の神々やモンスターが闊歩する土地。主神オーディンのため敵を倒し、Valheimの世界へ秩序をもたらすことが目標だ。プレイヤーはこの世界で武器・防具を作り、拠点を建設してサバイバル生活をする。ボスを倒すと新たな素材が手に入り、レシピが解放される。建造した船で航海へ出て、探索範囲を広げてゆくのだ。

広大なマップはプロシージャルに生成され、セーブごとに地形が異なる。オンラインマルチプレイに対応。3人から5人でのプレイが推奨されているほか、最大10人でプレイ可能。もちろんソロプレイでも十分楽しめる。


『Valheim』は早期アクセスの開始直後から好調な滑り出しを見せていた。ここ数日で順調にプレイヤーを増やして、Steamの同時接続ユーザー数ではトップクラスまで上り詰めている。SteamDBによると、ピーク時の同時接続ユーザー数は13万を突破。記事執筆時点ではSteamの同時接続ユーザー数ランキング8位となっている。ちなみにほかの3D系クラフトゲームの同時接続ユーザー数のピークは、『Rust』が24万で『ARK: Survival Evolved』が15万、『Raft』が4万ほど。『Valheim』の人気がうかがえる数字だ。海外フォーラムResetEraの投稿によると、『Valheim』が今週もっともSteamで売れたゲームであるとのことだ。


本作はなぜそこまで人気なのか。ゲーム内要素に、そのヒントが隠されているかもしれない。具体的には、本作はリアルな物理シミュレーションが導入されており話題になっているのだ。とくに注目されているのは、焚火から出る煙のシステム。『Valheim』はサバイバルゲームだということで、焚火をクラフトし、調理したり暖をとったりすることになる。寝るにしても、火が近くにないと寒くて眠れない。ベッドは屋内に設置する必要があるので、焚火は家の壁にくっつけて作ればよい。しかし雨が降ると焚火は消える。では屋内で焚火をしていいかというと、そうすると困ったことになる。というのも、煙が家の中へ充満して窒息死してしまう。現実同様に、一酸化炭素中毒になってしまうのだ。

つまり、快適な自宅を作るには換気が必須となる。囲炉裏でも暖炉でも、やはり家の中で火を使いたい。そこで自由度の高い建築システムを生かして、煙突を設置するプレイヤーもいるようだ。ゲーム内での煙は、煙突を通ってきちんと屋外へ排出される。実用的でありつつ家の見栄えも良くなる一工夫だ。もちろん家の中の高い場所に窓を作っても換気はできる。とはいえ、サバイバルゲームとあっても、煙の処理まで考えなければいけない作品はなかなか他に例がないだろう。


建築物もまた物理法則に従う。土台が失われると、上の壁や柱も壊れてしまう。壁や柱には強度の概念もあり、あまり無茶な建築をすると崩壊する。大きい建物を建設する場合、まずは頑丈な土台から作る必要があるのだ。とはいえ、制約ばかりが強いというわけではない。マップのほぼどこでも建築可能で、地形を盛ったり削ったりと自由度も高い。また木を伐採する際、丸太の下敷きになるとダメージを受ける。転がる丸太がほかの樹木へ倒れかかり、ドミノ倒しに伐採できることも。下敷きにならないよう、一歩下がって避ける場面が発生するのだ。現実では当たり前なことではあるが、ゲームの要素として導入されている点は面白い。


もちろん物理シミュレーション要素も、サバイバルゲームとして土台となる基本ゲームプレイがしっかりしているからこその人気である。『Valheim』は早期アクセス版であるものの、バグが少なくコンテンツも豊富。素材を見つけるとレシピが解放され、クラフトできるアイテムが少しずつ増えてゆく。いきなり何でもできるのではなく、ゲームの基礎を少しずつ学びながらプレイできる親切設計だ。北欧神話やヴァイキング文化、激しいボス戦などキャッチ―な要素も多い。インストール容量が1GBなのも、ゲーマーのPCに優しい。

本作はなんでもありではなく、適度な制限がある。ゲームの世界とプレイヤーが物理的にインタラクトできることが、人気の理由かもしれない。2021年のロードマップも公開されており、コンテンツの拡充にも期待できる作品だ。『Valheim』はPC(Steam)向けに2050円にて早期アクセス販売中だ。

Kaisei Hanyu
Kaisei Hanyu

映画とゲームが大好き。オブリビオンからゲーム人生が始まりました。

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