『原神』公式がファンアートコンテストを予告するも「完成度の低い投稿はやめて」と告知し、のちに謝罪。翻訳の難しさ

miHoYoは1月27日、『原神』におけるファンアートイベント「明霄灯海」の開催を予告。しかし一部文が不適切であると謝罪している。

miHoYoは1月27日、『原神』におけるファンアートイベント「明霄灯海」の開催を告知した。ファンコミュニティ向けのイベントのはずが、告知の文に不適切な表現があったとして、すぐさま謝罪することになった。


2月18日より投稿の受付が始まり、同月24日に受付締め切り。2月25日から3月10日まで審査がおこなわれ、投票などもまじえつつ3月11日から16日にかけて結果が発表される。報酬としては、金賞に輝けば原石1万個とAdobe All Appsの年間メンバーシップがもらえ、報酬が一番少ない優秀賞でも、原石1000個がもらえる。ファンアートを投稿することでゲーム内報酬、そしてイラストツールが使用できるようになるという、面白い企画だ。

https://twitter.com/zczc_sa/status/1354424057853165569

しかし、その告知文がユーザーを複雑な気持ちにさせたようだ。なんと書かれていたのか。投稿規準のその1に「完成品には色付けが必要です。また、完成度の低い投稿はお控えください」と記述されていたのだ。記述を確認したユーザーたちは反発。完成度の低いという基準がわからないといった指摘や、絵の優劣をつけるのかという失望、または自分は応募できないといった嘆きの声が寄せられている。『原神』公式アカウントは、この告知の1時間30分後にすぐさま声明文を掲載。「イベント投稿規準の翻訳に一部適切性に欠ける表現がございましたため、正しい文言に修正させていただきました。皆様にはご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます」と謝罪した。

では、実際には何を伝えようとしていたのか。訂正後の日本語文を見れば早いのだが、ひとまず英語の文を見てみよう。英語の文は以下となる。(1/29 10:20追記 現在は文言差し替え済み)

英語:
The finished works should be of high quality. Drafts and incomplete works will not be considered.


英語版を直訳すれば「完成品は高品質であることが求められます。下書きや未完成の作品は対象となりません」といったところだろうか。一見すると、前の文と後ろの文は「高品質であること」「下書きや未完成品ではないこと」とバラバラの要求に見えるが、本当に言いたいのは後者と予想できる。つまり「下書きや未完成のものではない完成品を提出してください」と言っているのだろう。

そして原文とされる中国語簡体字文はこうだ。

中国語簡体字:
最终成品需上色、且不接受完成度低的线稿。


こちらを訳するとすれば、「完成品は色付けされている必要があり、完成度の低いイラストは受け付けておりません」といった表現となる。言わんとしていることは英語と同じ。着色されていない未完成品は受け付けていないということ。日本語文では着色が必要と明記されていることから、中国語のニュアンスがベースと見られる。しかし英語と同じく、「色付けが必要」「完成度の低い作品は受け付けない」と前後の文がバラバラに解釈されたことにより、日本語では「完成度の低い投稿はお控えください」というやや尖った表現となってしまったようだ。修正後の日本語は「完成品には色付けが必要です。また、下書き、もしくは未完成の作品の投稿はお控えください」となっている。原文の意図どおりになるよう、訂正されたのだろう。

『原神』といえば、リリース当初より物議を醸してきた作品ではあるが、ファンコミュニティは分厚い。ネットミームなども続々と生み出されているが、特に人気があるのはファンアートだ。ゲーム内に出てくる美少女や青年らの容姿レベルが高く、キャラたちのファンアートが続々と生まれている。特に最近実装された甘雨の人気は凄まじい。


またmiHoYoは二次創作についてのガイドラインも制定しており、ファンアートや同人誌の作成、コスプレ活動などには比較的寛容である。ファンコミュニティに寄り添っているはずの会社が、ファンコンテンストにて「質の低い作品は受け付けない」と言っていたとすれば、ファンとして落胆するのは理解できる。二次創作の熱も冷めかねない。ゲーム内の日本語については、おおむね問題ないものの昨年10月のイベント百貨珍品での台詞”このようなもの”を筆頭に時折怪しい部分は見かけるのも事実。ある種課題が出た事例とも言える。いずれにせよ、1時間半で謝罪するという、批判からの対応の速さは、miHoYoらしいと言えるかもしれない。

『原神』ファンアートイベントの詳細は、こちらからチェックしてほしい。

Ayuo Kawase
Ayuo Kawase

国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)

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