マイクロソフト、「Xbox Live Gold」の値上げを発表するも、実質2倍となり批判殺到。半日で撤回し、基本プレイ無料ゲームでの加入も不要に
マイクロソフトは1月22日、「Xbox Live Gold」の加入にかかる月額料金の値上げを発表。しかし翌23日になって、一転して値上げを撤回した。当初の発表では、年額では従来の実質2倍となる値上げとされていたことから、ユーザーから大きな反発を招いていた。
Xbox Live Goldは、Xboxコンソールにてオンラインマルチプレイなどのネットワーク機能を利用するためのサブスクリプションサービスだ。加入者には、毎月複数のゲームがプレゼントされるほか、ゲーム購入時に特別な割引も適用される。
Xbox Live Goldの月額料金についてマイクロソフトは、市場の変化を定期的に評価して地域ごとに価格改定を実施してきた。そして今回、1か月利用権を1ドル増の10.99ドル、3か月利用権は5ドル増の29.99ドル、そして6か月利用権を20ドル増の59.99ドルへと値上げすると発表。最近まで販売されていた12か月利用権が59.99ドルだったことから、年額換算で実質2倍の値上げである。既存の加入者は値上げ前の価格にて更新できるとされたものの、この大幅値上げにはユーザーから批判が殺到することとなった。
毎月提供される無料ゲームなどの価値を考えれば、年額120ドル(約1万2500円)でも十分に元は取れる計算にはなるが、同様のサービスを提供するPlayStation Plusと比較しても、年額にして2倍となる値上げだ。さらに、他プラットフォームとは異なり、Xboxでは基本プレイ無料のオンラインゲームをプレイする際にも、Xbox Live Goldの加入が求められる。“基本プレイ無料”にならないことはかねてより批判されてきたが、そうしたタイトルを中心に楽しむユーザーにも、この値上げが影響する。
そうした批判の声を受けて、マイクロソフトは発表からわずか半日にして、Xbox Live Goldの値上げを撤回。1か月9.99ドル・3か月24.99ドル・6か月39.99ドル・12か月59.99ドルという、従来の価格設定のまま据え置くとした。さらに、基本プレイ無料タイトルをプレイする際に義務付けていたXbox Live Goldの加入についても、不要にするよう方針転換することを明らかにした。この変更については、今後数か月のうちにできるだけ早く実施するとのことだ。
今回撤回された値上げについては、好調が伝えられている「Xbox Game Pass」にユーザーを誘導する狙いがあったのではとユーザーから指摘されていた。Xbox Game Passは、100本を超えるゲームが遊び放題となるサブスクリプションサービスだ。上位プランのXbox Game Pass UltimateにはXbox Live Goldが含まれ、さらにEAのサブスクリプションサービス「EA Play」も利用可能。Xbox Live Goldに月額10.99ドルを支払うのであれば、4ドル足してXbox Game Pass Ultimateに加入した方がはるかにお得だといえる。
ただ、そうした狙いが背景にあったとしても、類似する競合サービスとの比較において価値に見合わない、年額にして2倍の値上げを突然おこなうということは、悪手だったといわざるを得ないだろう。今回の撤回発表にてマイクロソフトは、的外れな失敗を犯してしまったとし、それに気づかせてくれたファンに感謝するコメントをしている。
なお今回の発表に合わせて、Xbox Live Gold加入者向けの無料ゲーム「Games with Gold」の2月のラインナップが公開されている。加入者は、『Gears 5』や『バイオハザード HDリマスター』『ロスト プラネット 2』などを入手可能だ。通常よりも1本多くプレゼントされる予定で、気前の良い姿勢を見せることで、Xbox Live Goldの値上げへの悪印象を和らげようとしたのではなどと一部では囁かれたが、値上げ撤回後もこちらのラインナップは変化なしである。