『ドラゴンクエスト』シリーズの配信収益化を、スクエニが原則許可。個人を対象として

 

スクウェア・エニックスは1月13日、『ドラゴンクエスト』シリーズにおけるの「動画・生配信・画像投稿に関するガイドライン」を更新。その中で、ガイドライン内で定められる動画共有サイトが正式に提供する収益化機能を通じて、個人のユーザーが収益を得る行為について、商用利用とみなさないと発表した。つまり、個人配信者が『ドラゴンクエスト』シリーズ作品を通じて収益化をすることを許可したことになる。


すでにガイドラインページには許諾している『ドラゴンクエスト』シリーズタイトルについて記載されている。ざっと見る限り、近年の作品はほぼすべて網羅されている印象だ。こうしたタイトルを配信するにあたって、プラットフォーム内の機能を通じて収益化をすることが可能となる。これまで『ドラゴンクエスト』シリーズ各作品の動画・生配信・画像投稿においては、動画・画像などの商用利用が禁止されてきた。ゲーム実況や配信も商用利用であったわけだ。しかしこのたび、それらは商用利用ではなくなり、収益化が可能となる。なお今回の発表にあわせて、UUUM株式会社がスクウェア・エニックスと『ドラゴンクエスト』シリーズの著作物使用に関する包括的許諾契約を結んだことが発表されている。

一方で、いくつかの注意点もある。まずこちらは今回の宣言は個人を対象としたもの。事業として動画配信を行なう法人については別途許諾を得る必要があるので注意。またプレイ動画の投稿はYouTubeやニコニコ動画といった、一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)と音楽に関する利用許諾契約を締結済のサイトに限られる。また作品によっては、エンディング部分やムービーシーンの配信等を制限している作品があるほか、ほかのプレイヤーが登場する場面についてプレイヤー名を伏せるなどの対応をする必要があるという。配信にあたっては、個別のガイドラインも確認することになるだろう。

スクウェア・エニックスはガイドラインの更新にあたって、以下のメッセージを寄せている:

「ドラゴンクエスト」シリーズの生みの親・堀井雄二さんは「ゲームはコミュニケーションツールでもある」と語っています。友達とどこまで冒険が進んだかを競い合ったり、謎解きのヒントを教え合ったり、ゲームを通じて生まれるコミュニケーションもまたゲームの楽しさであり、思い出なのであると。『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』において、すれちがい通信による「宝の地図」の交換が社会現象となったことや、『ドラゴンクエストX オンライン』が国内最大級のネットワークRPGとして数多くの冒険者が集う世界となっていることは、コミュニケーションツールとしてのゲームのすばらしさを示す出来事です。

コミュニケーションのありかたは時代とともに変化し、現在ではネットワークを通じてのコミュニケーションはごく当たり前のものとなりました。ゲーム作品のプレイ動画をネットワーク上で配信することは、友達同士での会話と同じように、ゲームの楽しみかたのひとつとして定着しつつあります。「ドラゴンクエスト」シリーズはそうした変化を前向きにとらえ、すでにシリーズ各作品において動画・生配信・画像投稿に関するガイドラインを公開し、皆様のコミュニケーションを応援してきておりますが、さらに力強く後押しすべく、このたび新たな方針を決定いたしました。


個人を対象とした配信の収益化といえば、先日カプコンが同様の方針を表明したばかり(関連記事)。『ドラゴンクエスト』シリーズの許諾においては、すぎやまこういち氏の楽曲の権利が関係してか、プラットフォームはJASRACとの契約を締結しているYouTubeとニコニコ動画などが中心(JASRACが利用許諾契約を締結しているサイト一覧)。詳細な条件などについては、公式ガイドラインを注意してチェックしてほしい。
【UPDATE 2021/1/14 15:50】
JASRACと利用許諾契約を締結している配信サイト一覧リンクを追記。あわせて本文中の記載を修正。