『GTA5』人気再熱中の名シーンを、俳優陣が実写で再現。ネットミームがフランクリンとラマー役の共演につながる

 
Image Credit: PlayStation Haven

『Grand Theft Auto V(以下、GTA5)』の名場面を、各キャラクターを演じた俳優陣が実写で再現する映像が公開され、話題となっている。同作にてフランクリンを演じたShawn “Solo” Fonteno氏と、ラマーを演じたSlink Johnson氏が共演。YouTubeチャンネルPlayStation Haven協力のもと、ゲーム序盤の掛け合いを実写で再現して見せた。昨年末から同シーンがネットミームおよびMAD素材として人気を高めていることを受けての企画と思われる。

再現対象となったのは、ネットミームとして最近人気が再熱しているカットシーン。序盤のミッション「フランクリンとラマー」にて車両盗難を働いた2人が、ひと仕事終えてフランクリン宅に戻った際に交わす会話だ。お調子者の友人ラマーがどういう人物なのか紹介する役割も果たしており、そのユーモラスなやりとりから発売当初から人気は高かった。ゲーム序盤ということもあって、記憶に残っているプレイヤーも多いことだろう。


同場面の内容としては、フランクリン宅に到着し、「さてと、泊まらせてくれるんだろ?」と声をかけるラマーに「フザけんな、また仕事でな」とフランクリンが冷たく返す。するとラマーが「オレの魅力に嫉妬するなよ。その古くてダサい髪型を何とかすりゃ少しはモテるようになるかもな。いや、それよりタニーシャに相手してもらえよ。彼女がヤってる脳外科医とか弁護士に飽きたらさ。N****」と口達者にからかい、中指を立てながら去っていく。この一連のやりとりを、Fonteno氏とJohnson氏が再現してみせた。忠実に再現しつつも、最後の「N****」の部分は、ゲーム内よりも気持ちビブラートをきかせるというささやかなアレンジ付きだ。

この軽やかかつコンパクトにおさまった2人のかけあいは、ネットミームの素材として適していたのだろう。昨年末より、ラマーのキャラクターモデルやセリフを別作品のものに置き換えるネットミームが盛んになり始めた。動画タイトルは、「〜〜roasts Franklin」「〜〜roasts Franklin」といったものが多い。初期の段階では、セリフは変えず、ラマーのキャラクターモデルをカーミット、スポンジ・ボブ、マリオ、キノピオといった他作品のキャラクターに変換するものが主流であった。もちろん定番である「きかんしゃトーマス」のトーマスも参戦している。


だがこうしたネットミームは、基本ルールが浸透したのち、徐々に変化が加えられていくケースが多い。弊誌でも複数のネットミームを取り上げてきたが、メジャーなネットミームほど、徐々にエスカレートしていく傾向が強い。今回の「〜〜roasts Franklin」シリーズも例外ではなく、最近ではキャラクターモデルだけでなくラマーのセリフも変えるパターンが増えつつある。『The Elder Scrolls V: Skyrim』の兵士、「トイ・ストーリー」のウッディ、「アナと雪の女王」のエルサと、さまざまなキャラクターが独自の言い回しでフランクリンをディスっては去っていく。


そもそもフランクリン側のセリフが少ないため、ラマー側のセリフをアレンジする余地が存分に残されている。ネットミームという大喜利として、回答を作りやすいお題でもあるのだろう。会話を締めるフランクリンの「なんだと!?」という返事に合うような、つまり「何を言っているんだこいつ」と思うようなセリフであれば大抵通用するからだ。

途中からは猿が「アーー!アァーー!!」と大声で鳴いているだけであったり、バイクがけたたましくクラクションを鳴らしたりと、もはやセリフでも人でもない意味不明な境地に至っている。中には、おなじみ『龍が如く』の桐生が「ばかみたい」を歌って格好良く去っていくという、別のネットミームとのコラボと思える映像も。フランクリンとしては「なんだと!?」と言うしかないような、不憫なシチュエーションが大量生産されているのだ。


白雪姫を使った例では、「あらこんにちは小鳥さん。ウフフ、素敵な髪型ですね。きっと私と一緒にいるのがお好きなのですね。私も同じくらい、あなたと過ごす時間が好きよ。ぜひともドクたち7人のこびとに紹介したいわ。では、さようなら」という、原型をとどめていないメルヘンなセリフを残している。こちらはフランクリンの髪型をからかうラマーの元々のセリフを視聴者が把握しているという前提のもと、からかうのではなく褒めるという変化球を投げたもの。「その古くてダサい髪型を何とかすりゃ少しはモテるようになるかもな」というオリジナル版でのラマーのセリフから、「素敵な髪型になっている=白雪姫に会うにあたりモテようと努力している」と白雪姫が解釈しているという、ハイコンテクストな内容だ。


こうしたネットミームとしての人気再熱という流れがあった上で、俳優陣による実写再現が誕生したのである。ネットミーム効果で実現した、Fonteno氏とJohnson氏のコラボレーションだ。オリジナル素材あってのネットミームということで、感慨深いものがあるだろう。

なお今回動画を公開したPlayStation Haven、実はラマー役のSlink Johnson氏とともにウェブシリーズ「GTA V Real Life Comparisons」を計画中。第1弾として、Johnson氏が現実世界のハリウッドと、『GTA5』のバインウッドを比較する映像が1月29日に公開される予定となっている。丁度Johnson氏と一緒に仕事をしているときにネットミームの人気が過熱化したということもあって、速いスピード感で再現映像の公開にまで持ち込めたのだろう。再現映像の再生回数は10時間で160万回。「GTA V Real Life Comparisons」シリーズの告知としても効果が見込めそうだ。

*GTA V Real Life Comparisons エピソード1告知トレイラー