Twitch、削除されたPogChampにかわり、新たに“日替わりエモート”を実験中。24時間ごとに入れ替わる、いろんな人のビックリ顔

Image Credit : Kenny McWild

Twitchは1月9日、先日削除された「PogChamp」エモートに代わり、新たに「24時間ごとにさまざまな顔が表示されるエモート」のテストを開始した。人気エモート削除にあたっての代案として、ユーザーのひとりからの提案を実行に移したかたちだ。 
 

 
Twitch配信のチャット欄を賑わせる多彩な絵文字、エモート。そのひとつとして人気を集めていたのがPogChampと呼ばれる顔のアイコンだ。元ネタとなったのは、「PogsChampionship(メンコ選手権)」と呼ばれる動画。格闘ゲームプレイヤー/キャスターであるGootecks氏が出演し、メンコ勝負を遊ぶという映像だ。この動画の中で、撮影中にGootecks氏が見せた「半笑いで驚く表情」が面白がられ、一躍ネットミームに。Twitchや4chanなどで、ポジティブな感情から煽りまで多彩なシチュエーションで用いられてきた。 

ところがエモートの題材となったGootecks氏について、波乱が巻き起こる。事の発端となったのは今月6日、アメリカ連邦議会議事堂にドナルド・トランプ大統領の支持者ら強行侵入するという事件が発生。ひとりの女性が亡くなる痛ましい事態に発展した。本件に関し、Gootecks氏がTwitterでコメント。亡くなった女性について「今後、処刑された彼女のための暴動が起きるのでしょうか、それとも、殉教者として無駄死にとなるのでしょうか」と述べた。Twitchはこの発言を「暴力を促すもの」として捉え、エモートの削除を決断したと発表した。ただし、PogChampはTwitchの文化において大きな位置を占めるともコメント。代わりとなるものを用意し、コミュニティと共に、Twitchの盛り上がり時に使用できるエモートを作り出したいと語っていた。 
 

 
そして、早くも「新たなエモート」を模索する実験が始まったようだ。それは、固有の誰かの顔を絵文字として採用するものではない。かわりに無数の「驚いた顔」をストックし、その中からランダムでエモートとして表示するというものだ。対象となる顔は24時間ごとに入れ替えられ、同じPogChampのコマンドを打っても日ごとに異なる絵文字が表示されるという仕組み。TwitchはPogChampのエモートについて、「その意味は、描かれている人物やイメージ自体よりもはるかに大きい」と語っていた。その言葉どおり、人々が「PogChamp」な気持ちを抱いたとき、もはやそこに描かれている人物はGootecks氏である必要性がないというわけだ。実際、インターネット上にはPogChampから派生したエモートが数多く存在している。 

もともとこのアイデアを発案したのは、eスポーツコメンテーターのSean Plott氏。Twitchの公式アカウントに向け、ストリーマーや一般の顔のデータベースをPogChampとして登録してはどうかと発案したのだ。これを受け先んじて反応したのが、格闘ゲーマーのUnRoolieことKenny McWild氏。同氏は、自身の「ビックリ顔」をTwitchへ送り、PogChampの代用として使ってほしいとラブコールをかけたのだ。そして本日、まさしくMcWild氏の顔がエモートに採用。現在、Twitchストリームのコメント欄にてPogChampコマンドを打つと、McWild氏が口を開けて仰天するコミカルなエモートが表示される。 
  

ストリーマーxQcOW氏の『RUST』配信にて、早くも使われるPogChamp


エモートは日替わりということで、明日の絵文字が誰になるかは今のところお楽しみ。実験がいつまで続くかは発表されていないが、コミュニティを盛り上げるツールの模索はしばらく続きそうだ。画像ありきで生まれたミーム文化が、やがて元のイメージを置き去りにした新しい感情表現として発展した、興味深い事例といえるかもしれない。